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過去の苦痛と愛の決断⑦
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それからは色のない世界を生きているようだった。
朝起きてご飯を食べて学校に行って帰ってきて寝ての繰り返し。
こんなにもつまらなくなってしまう物なのかと考えたりもしたが、考えることもやめた。
人形のように感情を顔に出さなくなっていった。
周りも紫のことを忘れていった。
そんなある日だった。
いつも道理、屋上でお弁当を食べていた。
すると、誰かから声をかけられた。
「あの、一緒に食べてもよろしくて?」
綺麗な声だった。
少し低めの声で、でもとっても優しい音だった。
「…良いですよ」
少しずれて、ベンチに座れるようにする。
そこに座ったのは紫と真逆と言ってもいいほどの美貌を兼ね備えていた。
腰くらい長くさらさらの黒髪。
真っ白な肌から見える漆黒の双眸と赤い果実の様な唇。
綺麗な顔だった。
「すまないな。私の名前は島崎 翠だ」
「私の名前は嵜元夏樹。」
「夏樹殿か。なら紫を知っているな?」
「?!」
その名前がでて驚いた。
忘れようとしたけど忘れられなかった名前。
「うむ、知っているのだな。その紫についてだ。」
「紫について?」
「夏樹殿にこれをと預かってきた。」
そう言って差し出されたのはオレンジ色の石がついたネックレスだった。
「こ、これ…」
「あぁ、もちろん知っておるだろう。あと、手紙も夏樹殿に」
そう言って翠が懐から出してきたのは薄い桜色の封筒だった。
それを受け取り、夏樹は封筒を開ける。
そこには一枚の紙が入っていた。
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