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君が思う月①(夏樹の話の続き)
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夏樹は一旦家に帰り、遼河と満留に
「ただいま」
と声をかける。
すると、目の前遼河が立っていた。
すると、満留もやって来て、ふにゃりと笑いながら
「おかえりなさい、夏樹さん」
と言った。
遼河は雰囲気からなにか感じ取っていたのか、黙りしていた。
なので遼河に
「少し家を開けるわ。遼河、任せてもいいかしら。」
と言う。
遼河は少し間を開けて
「うん」
と答えた。
2人は不安そうな顔でこちらを見てきたので2人に近寄り、そっと腰を下ろした。
そっと微笑みながら2人に
「うん、いい子ね。大丈夫よ、帰ってくるわ」
と言い、元来た道を引き返す。
「じゃあ、行ってくるわ…」
翠が夏樹を車に乗せ、家に向かう。
「瑠璃くん、でしたっけ?どんな子ですか…?」
と恐る恐る聞く。
「…今は、もう、人形のようになってしまいました。私の失敗です。瑠璃様の義理の親がまさか虐待するなんて…」
翠はうなだれる。
「え、どういう事ですか?」
夏樹は驚き翠を見る。
「…紫が瑠璃様を生んですぐ瑠璃様を引き剥がしたのは話したとおりです。瑠璃様は幼いながらにして義理の親に引き取られることになったのです。その義理の親を選んだのは私なのです…」
運転に集中しながら話を続ける。
「義理の親の名前はⅹⅹさんとⅹさん。とっても仲の良さそうな夫婦だった。でも、それは篠崎家から出される多額の寄付金目的だった。そんな企みも気付かず私は瑠璃様を養子として預けてしまった…そのせいで、そのせいで…瑠璃様は…」
目に涙を浮かべながら話す。
いつの間にか車は止まっていて、翠の家に着いたようだ。
「…お見苦しいところをすみません。着きました…」
夏樹は車を降りる。
そこにはぼろぼろのアパートがあった。
「ここに住んでいるんですか?」
少し驚いて翠に聞く。
「はい。目立たないように生活というのを心がけておりますから…」
そう言って1回の一番端の部屋の鍵を開ける。
「どうぞ、お入りください…」
そう言って翠はドアを大きく開ける。
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