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君が思う月③
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夏樹はふと時計を見た。
時間は9時。
瑠璃は相変わらずベッドの上で震えている。
だが、顔は見える。
大きくクリクリした目。
女の子のような顔立ち。
(紫に少し似てるわね…)
夏樹は瑠璃の隣に座りながら話をかける。
「もう9時だから寝ましょうか。」
夏樹は寝そべる。
すると瑠璃はそっと夏樹に近づく。
「ぅ…」
瑠璃は夏樹の背中にぴったりくっつき黙りしている。
「…おやすみなさい」
夏樹は寝返りをして翠がしたように瑠璃を抱きしめてやる。
しかし、抵抗はしない。
しばらくすると寝息が聞こえてきた。
(瑠璃くん…)
瑠璃を始めてみた時から気づいていた。
ブカブカの白い服から見え隠れする真新しい包帯。
赤黒い痣。
抱きしめるとわかる異常なほどガリガリの体。
(翠さんが言ったことはあっているみたいね…)
優しく、起こさないように瑠璃の頭を撫でてやる。
「…ん…」
瑠璃は気持ちよさそうに寝ている。
でも、少し悲しそうな顔をしているような気がした。
『どんなに酷いことを親にされても子供は親を、親の愛情を求め続ける。』
紫がかつてポツリと呟いた。
(そんなの事言って、捨ててしまったのは紫じゃない…)
そんなこと思いたくなかった。
でも思ってしまった。
遼河と満留も親に酷いことをされて孤児院に捨てられてしまったのかな…
そう思うと胸が痛くなってきた。
夏樹自体愛情をたっぷりもらいながら生きてきた。
だから瑠璃の思ってることも遼河が思ってることも満留が思ってることも100%は理解できない。
でも、苦しいということはわかる。
さて、私もそろそろ寝ようかしら
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