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もう1人の影(視点 叶多)
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叶多は一旦部屋を抜け外に出た。
「紫…なんで、、、知ってるんだ、?」
叶多の記憶の中に元々インプットされていた名前。
自分は覚えていないのに、脳は覚えている。
「…」
ズボンのポケットに入っているスマホをとると、蓮に電話をする。
蓮はワンコールで出る。
「もしもし、叶多様。どうか致しましたか?」
「引越しの方は終わった?」
叶多が聞くと蓮は
「はい、終わりました。」
と短く答える。
「ねぇ、瑠璃の母親が、紫って言うんだってさ、蓮?」
声が冷たくなった。
その瞬間意識がなくなった。
言おうと思った訳では無いのになぜか口からでた。
暗い、水の中を沈んでいっているような感覚だった。
別に息が苦しいわけでもない。
(あれ…なんで俺、蓮に電話して、それで…)
思い出そうとするが思い出せない。
(おかしいな…今話したはずなのに、すごい昔だったような感じがする…)
少し足掻いてみたが、沈む一方。
下に行くほど浮いた感じがして、しかも息が苦しくなってくる。
(なに、これ…)
感じたことのない恐怖。
(もう、足掻くのもやめようか…)
へらりと笑う。
するとどこかから大切な人の声が聞こえる。
「…て!……きて!起きて!叶多!」
そっと目を開く。
瑠璃が泣きそうな目でこちらを見ている。
手にはスマホが握られていて、なぜか自分は横たわっていた。
「瑠璃…?」
「叶多!叶多!良かった!良かったよぉ!」
ぎゅっと叶多を抱きしめる瑠璃。
「ん、なんで俺…」
「叶多、戻ってこないから心配になってきて、探そうと思って外に出たら倒れてたんだもん…」
「ごめん、瑠璃」
これ以上心配させないよう叶多は微笑みながら瑠璃の頭を撫でてやる。
「中入ろ、叶多」
「うん」
2人は立ち上がり家に入る。
一体さっきのは何だったのだろうか。
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