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辛い横顔
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叶多はベッドの隅に腰をかけていた。
その横顔はとても綺麗だった。
真っ白な肌から見える真っ黒で大きな瞳。
長い睫毛。
高い話。
でも、その顔はどこか寂しそうで、辛そうだった。
「叶多は、どうして悲しそうな顔をしているの?」
そっと問いかけると叶多はこちらに向き直り、
「そう?でも大丈夫だよ。」
という。
辛かったら、頼ってくれればいいのに。
そんなことさえ僕は臆病だから言えなかった。
そんな考えを読み取ったのか、叶多は優しく微笑みながら
「大丈夫だから、心配しないで。辛かったけど、瑠璃がいてくれているから全然平気だよ」
そう言って叶多は僕に近づきおでこに触れるだけのキスをしてくる。
「でも、瑠璃を傷つけたくないのに傷つける。最低だよね、俺。」
「ううん、そんなことないよ。」
叶多は困ったように笑いながら
「瑠璃はこの世界で生きていくには優しすぎるんだよ。心配だな、将来どうなることやら」
と言う。
言っている意味があまり良く分からず、首をかしげていると、叶多は
「ふふ、分からないならいいよ」
といい頭を撫でてくる。
気持ちよくて、頭を叶多の手にぐりぐりと押し付けると叶多は
「かわいい」
という。
ただ、叶多は純粋に僕が好きなのは知っている。
だから、叶多が僕を傷つけたくないと言うのと一緒で、僕も叶多を傷つけたくないと思っている。
だから、離れないでほしい。
一緒にいて欲しい。
あんなことをされたのにこんなことを思う僕は、おかしいのだろうか。
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