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優しさと心の傷
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くるくると手首を回している瑠璃。
なので瑠璃に
「やめなよ、痛いでしょ?」
と言った。
なのに何故か笑う瑠璃。
「ふふっ」
「な〜に笑ってん、の!」
少しムッとしたので瑠璃の頰を軽くつまんで引っ張る。
「いしゃい。」
「ふふ、可愛い」
そう言いながらつまんだ頰を上下にしたりして弄る。
うぅと唸り声をときより漏らす瑠璃。
可愛くてグリグリするのが楽しくなってくる。
(そーいえば、瑠璃に言って置かないと…)
少し心の中を整理して、覚悟を決める。
「あのね、さっき瑠璃に言われたこと、ほんとに嬉しいんだ。親はいつもいなくて、いても俺の中は孤独だった。できないと捨てられる。小さい頃からずっと思ってる。俺、出来悪い子供なんだってさ。笑っちゃうよね」
頰をぱっと離して、ははっと乾いた笑いを見せてやる。
でも、本当に瑠璃が言ってくれた事は嬉しかった。
今まで一人ぼっちの世界を生きてきた。
どんなに努力しようと、それは親にとって”当たり前”であり、褒めるにも値しない。
ふっと瑠璃を見る。
悲しそうな顔で俺を見ている。
そして、少し目を瞑り、目を見開く。
「ううん。笑わないよ。だって叶多は頑張って来たんじゃない。捨てられないように、できた子供って言われるように。僕より、何倍も辛かったんじゃないかな。頼れる人もいなくて、いっつも孤独を感じていて。でも、これからは僕が叶多を支えるよ。」
瑠璃から意外な言葉が出てきて、涙が溢れだしそうになる。
今まで生きていて初めて言われた言葉。
「っ…瑠璃…」
涙を堪える。
泣いたら駄目。
すると、そんな考えを読み取ったのか瑠璃は
「泣いていいんだよ。無理をしないで。」
と言った。
そんな優しい言葉をかけられ、堪えていた涙を流す。
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