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振り出しの駒と運命の分岐点(視点 蓮)
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屋敷で雑務をこなしていると、叶多様から電話がかかってきた。
また、いつものようにワンコールででる。
電話がかかってきた時は帰るから迎えに来てということだった。
「もしもし、叶多様。お迎えに参ります。どこですか?」
「うん、**岬の展望台だよ」
車で30分ほどの所にある、展望台。
「はい、承知しました。今向かいます」
そう言って電話を切ろうとすると、冷たい声が向こうから聞こえて、少し青ざめる。
(ま、まさか…)
「よぉ、蓮」
嫌な笑いが聞こえて少し怒りが込み上げてくる。
「…」
答えたくなくて何も言わない。
「ははっ、やっぱり釣れねぇ。まぁ、いい。おい、監禁部屋準備しとけ」
「…え、?」
いきなり言われた言葉に反応がおくれる。
「聞こえなかった?監禁部屋準備しとけっていったんだよ。瑠璃を閉じ込める。」
元々”影”は叶多の嫌な記憶を忘れるためにできたもう一つの人格。
ということは”影”の存在を叶多様に知られるのは不味い。
だから、今までずっと”影”の言う通りにしていた。
だから叶多様を守るためにも逆らうわけには行かない。
「…承知しました…では、準備しておきます。」
「おお、それでいいんだよ」
”影”は馬鹿にするように笑う。
そして、電話を切ろうとするとあることに気づいた。
よく耳を澄まして聞くと、電話の向こうで小さく、何か声のようなものが聞こえていた。
「…んぅ!うぅ!」
(この声は、まさか)
「うるせぇーよ。」
ゴス!
何かを蹴る音がしてその後すぐ小さいうめき声が聞こえる。
「篠崎瑠璃…が、いるんですか?」
恐る恐る聞く。
「ん?あぁ、気づいたんだ。ていうか、そんなこと言ってねぇで早く迎えに来いよ。」
「しょ、承知しました…」
(…これは、最悪だ…)
そう思いながら電話を切るのだった。
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