アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
帝人という人間(視点 叶多)
-
「お着きになりましたよ、叶多様。」
「…ん、」
蓮に言われて目を開く。
車はお城のような、豪邸の前に止まっていた。
「着いたんだ…はやく帰りたいな…」
心の声がポロリと零れる。
「…帝人様がお待ちですよ。」
「はいはい」
車を出る。
豪邸の前にはメイドが1人立っていて、俺に声をかける。
「ようこそお越しくださいました。」
来いって言われたからきたんだけど。本当は来たくないし。と言いたかったが言わない。
「御主人様がお待ちです。案内します。」
メイドは玄関の大きなドアを開けて入るように促す。
「蓮。お前は来るな。今日帰らないかもしれないから瑠璃は頼んだよ。」
そう言って、メイドに付いていく。
部屋の内装は洋風で、埃一つ無さそうだった。
「こちらです」
玄関の真正面に大きな階段があり、そこにメイドが立っている。
メイドが階段を上っていくので自分も付いていく。
メイドは長い廊下を淡々と歩いている。
(それにしてもこの家は凄い無駄に部屋が多いな…)
長い廊下にずらりと並ぶドア。
メイドは一番奥のドアの前で止まる。
「こちらでございます。」
「はぁ…」
帝人という人間は面倒臭い。
自分の利になる事ならどんな手段も使ってくる。
完璧主義という、性格。
会う前に憂鬱になっていく。
メイドはドアをロックする。
「失礼致します。北條様がお越しになりました。」
「入れろ」
低い声がしてメイドは少し狼狽えるが
「はい。では、どうぞ」
メイドはドアを開いて入るように促す。
「よく来たな、叶多。」
「…」
部屋の中にいたのは短い金髪に細く切れた青い目の青年。
「…」
彼こそが帝人。
彼の声は本当に耳障りである。
決して汚い声ではない。
逆に綺麗なくらいだ。
だが、俺にとっては耳障りでならない声。
「まぁ、座れよ」
目の前のソファを指さして言う。
「…はぁ」
仕方なくソファに腰を下ろす。
今気づいたが、マリンも居た。
机越しのソファに帝人は座っている。
机には前もって準備されていた、紅茶があった。
「要件とは何ですか?」
「ふっ、率直だな。まぁいい。」
帝人はくすりと笑いながら、紅茶を飲む。
「2ヶ月後。本格的に主人と奴隷の関係になる。」
(チッ…)
一番最悪の展開だった。
3ヶ月くらい後だと考えていたが、考えが甘かった。
「そうですか」
顔色を変えずにそう答える。
「ふっ、嬉しそうじゃないな。」
「嬉しいですが?」
少し強く言う。
こういうタイプの人間を喜ばせるのは一番面倒だ。
「か、叶多…」
マリンが口を挟む。
「何ですか?」
マリンに2人の視線が行く。
「っ、何でもないわ。」
「そうですか。」
何かを言おうとしたが辞めたようだ。
「まぁ、いい。おい、部屋を準備しろ。」
とメイドに命令する。
「…」
はぁ。
憂鬱な夜が始まる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
84 / 123