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瑠璃幼少期の思い出(視点 瑠璃)②
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「ねぇ、お父さん、お母さん。優はどーしたの?」
ただ頭に浮かんだ言葉をそのまま父と母に言うと、父と母は困ったような顔をして。
その時はまだどうしてそんな顔をしたのかわからなかった。
でも、困った顔をさせてしまったと後悔の念さえ生まれたのをとてもよく覚えている。
だから、聞いちゃいけない。
いつの間にかそんなことを思い優の名前は口に出さないようにした。
愛されたいなら、言っちゃいけない。
うん。そうしよう。
そして、優を見なくなって1ヶ月たった。
相変わらず優は屋敷のどこにもいなくて。
最近は父も母も仕事でほとんど家にいなかった。
だから、メイドさんに遊んでもらっていた。
でも、なんでだろう。
満たされない。
ずっと前から自分1人だけのような気がした。
どうしようもない空虚に襲われた。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
そういえば前もこんなことがあった。
父と母がいなくて、寂しくて、空虚に襲われたことが。
そんな時、優が来てくれた。
優は
「兄さん。じゃあ、僕と遊ぼう?」
と言った。
「うん!」
僕が寝るまで優は一緒にいてくれた。
とても楽しくて。
また遊びたいなと思った。
でも、屋敷の中であまり見かけない。
唯一見かけるのは僕がお外で遊んでいる時くらいだった。
屋敷の中ではまるで”優”という存在が元々存在しないようだった。
メイドさんも優についてはなにも言わない。
いつもそうだったからそれが当たり前だと思っていた。
どうして気づけなかったのだろう。
優がどんな気持ちだったのかなんで分からなかったのだろう。
そして、どうして優は、
大人を信じてしまったのだろう。
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