アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
愛されたくて。見て欲しくて。①(視点 優)
-
「よく出来ました!凄いですよ!」
少し前、僕の専属教師が言った。
僕は足が悪くて外に出れない。
だから、部屋で勉強するか、読書をするかだった。
だから勉強ができるようになった。
褒めてもらえたりして、その時は大喜びだった。
大人に褒めて貰うことが何よりも嬉しくて。
だから、もっと頑張ろうって思った。
でも、いつも大人の視線の先には兄がいて。
兄が嫌いだった。
足が動いているのが羨ましかった。
なんで僕なのかな?
だって何でもよかったじゃない。
それなら、僕じゃなくて兄にして欲しかった。
ああやって外を走り回って。
ただ元気な姿で外を駆け回っていれば父も母も見てくれる。
何も努力しなくてもいつも大人にちやほやされている兄に怒りさえも覚えた。
本当は会っちゃ行けないと父と母に言われていたが、会いに行った。
兄は人懐っこい性格で、中性的な顔をしていた。
僕を始めてみた時も
「君が優くんなの?!やった!会えた!」
と大喜びしていた。
それから父と母のいないタイミングを見計らって外で遊んでいる瑠璃に会いに行った。
会いに行ったといっても窓から瑠璃を見ていただけだ。
兄はたまに悲しそうな顔をして僕を見た。
それがどうしても癇に障ってイライラしていた。
でも、顔はいつも笑顔を心掛けていた。
兄にバレてはいけない。
そんな任務感のようなものがあった。
だから、兄さん、待ってて。
今兄さんのその幸せそうな顔を壊してあげるから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
98 / 123