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再度目を開けた時に真っ先に映り込んだのは
傘を持って俺を見下ろす龍哉さんだった
「蓮…何でこんなところにいる」
と怒ってるのかいつもより低い声で俺に声をかけた
「…たつ、やさん」
「待ってろって言っただろ?」
「…。」
「帰るぞ」
「…だ、」
「は?」
「嫌だ…」
「蓮、今のこの状況わかってんのか?」
「龍哉さんは、すぐに帰るって言った…」
「…それは、…確かにそうだったが、」
「ひとりで戻れるので、龍哉さんは先に帰っててください」
「…蓮、俺を怒らせたいのか?」
より一層圧が強くなり、すでに怒ってるのがわかる
「…もう、怒ってる」
「当たり前だ…こんなにずぶ濡れで顔色も悪いのにああそうですかって一人戻れるわけがねぇだろうが…何意地張ってんだよ」
「意地なんか張ってません…」
「俺が帰ってくるの遅れたのは謝るが、もっと自分を大切にするべきなんじゃないか?それに家で待ってなかったことにも俺は怒ってる…家に帰ると蓮がいなくて、また攫われたんじゃないかって思っただろうが」
「良かったじゃないですか、攫われてなくて」
「蓮…。いい加減にしろよ」
「…」
龍哉さんの怒りの導火線を掠めたのがわかった
これ以上刺激すると危ないのはわかってるが、俺も今日は頑固みたいで引く気がなかった
ムクッと起き上がり、龍哉さんを見つめる
「俺が攫われると、組みに迷惑がかかるし、何しろ面倒臭いからでしょ?」
「蓮!」
自分から龍哉さんに嫌われようとしているのに自分の心はボロボロに傷ついていて、どうしたらいいかわからない
「本当は龍哉さんだって思ってたでしょ…次から次へと面倒ごと持ってくるなって…俺なんか拾わなければよかったっておもってるでしょ」
「お前は、そう思ってたってことか?」
「そうですよ」
「あぁ、そうかよ」
終わった
これで本当に龍哉さんから嫌われて俺は本当の独りになるんだ
龍哉さんがひとりで公園を出て行った
それを見た後、俺は体の力が抜けそのまま倒れた
雨は止むことなく俺の体を濡らし続けた
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