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目を覚ますと見覚えのない天井が目に入った
むくりと起き上がりここはどこだろうと見渡した
「あ、起きた?…君いきなり倒れてさ、それにすごい熱があったんだよ」
と奥から知らない男性が現れた
「誰?」
「あ、俺?俺は如月祐【きさらぎ ゆう】君とぶつかって、倒れたから俺の家まで運んだ」
そう言ってその男は俺に近づき、おでこの冷却シートを交換した
見た感じ二十代ぐらいで身長が高く好青年っぽいツラをしていた
「そういえば君の名前はなんて言うの?」
「蓮」
「蓮くんか、…蓮くんの親御さん心配してない?二日間くらいずっと眠ってたけど…」
「え?」
「なんか、訳ありっぽいね…見た感じ高校生かな?」
「そうだけど…ここってどこ?」
「ここは…南町の3丁目のアパートだよ…蓮くんが倒れた場所から徒歩五分のところかな」
龍哉さんのマンションからかなり離れたところに来たようだ
「蓮くん…熱測れる?まだ顔が赤いけど」
ピピピッ
「37度8分か、まだちょっとあるね…また倒れると悪いから完全に治るまでここにいていいからね…その代わり親御さんにはちゃんと連絡しなくちゃいけないけど…」
「しなくていいです…親、居ないので」
「え?…そうなの?」
「如月さんは、大学生なんですか?」
「え?俺?…違うよ。蓮くんが倒れた近くにBARがあるんだけど、そこの店長やってる」
「…年は幾つぐらいなんですか?」
「26」
「若いですね…」
「蓮くんと比べたらそんなことないでしょ」
「まあ、何があったかわからないけど、元気になったら家にちゃんと帰るんだよ?」
「…はい」
俺が消えて3日は経ったはずだから、もう俺のことは過去の存在としてそのうち忘れていくだろう
これでよかったんだ…
『蓮、愛してる』
ズキッ
「…なんで、今更こんなこと思い出すんだよ…」
愛なんて苦しいだけだ…
愛は人を弱くする…要らない、俺には必要ないものだったんだ
「フゥ、」
ひとりで生きてくって決めたから、もう忘れる
自分に言い聞かせた
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