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赤紙ふたたび-5
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「もうこれ以上探しても無理だろ。ここのドラッグストアで黒染め買って家で染めてきな」
「ヤダ」
「葵琉」
我儘も大概にしないとさすがの俺もそろそろキレかねないからな。
「自分でできないからシロがやって」
「はぁっ? 何で俺?」
「自分でやるとムラになる」
「お前な……もういい、わかった。じゃあお前ん家行くか」
「シロん家がいい」
店内に足を踏み入れてカゴを手に取ると同時にサラッと爆弾発言をかましてきた。
「はぁ? 何で俺ん家? フツー自分とこでやるだろ」
「シロんちがいい。シロのおばちゃんのトンカツ食べたい」
「……」
「あ、8時閉店だって。急がなきゃ」
「はぁ……」
俺は葵琉を甘やかし過ぎたのか……。
俺が厳しく言っていればこうはならなかったかもしれない。
好きなようにさせすぎたか。
新しいスポーツドリンクが発売されていて、手に取って眺めていたら店内に蛍の光が流れ始めた。
「おーい。あったか?」
毛染めの液を見ている筈の葵琉の姿はヘアケアコーナーにはなかった。
レジにも並んでいないから店の奥を探しに行くと、買い物カゴに入りきらないほどのお菓子やジュースを持っていた。
「ちょっと待った。それ何?」
「お菓子。こっちはシロの分。シロ、このチョコ好きだろ?」
カゴの中にはお菓子に紛れてちゃんと黒染めの液が入っているのを見て少しホッとしたが、それにしても余計な買い物が多すぎる。
俺と食べるにしても買いすぎだろ、その量は。
「そもそもいつ食べるの?」
「夜。寝る前」
初めっから泊まる気だったな……。
「ほら、もう店閉まるからレジしてきな」
はぁ……。
やっぱり、明日から甘やかすのは止めにしよう。
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