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「藤森、見たか?」
「はい」
車を道路の端に止め、俺と藤森はアパートの方を窺った。
柳から受け取った紙に書かれていた部屋番号205号室の扉の前には男が二人いる。
「一樹さん、アパートの下に黒塗りが止まっております。そちらに行った方が話が早いかと…」
「あぁ、そうだな。藤森、お前は車の外で待機してろ」
アパートの敷地内に入り、停まっていた黒塗りに近づき、勝手にドアを開けると後ろの座席に座った。
「何だ。貴様は?」
俺の隣に座っているスーツの上に和服の羽織を着ている男が俺のことを睨みながら言った。
「205号室の星野から手を引いてもらえないか?星野の借りた分の金は払おう」
「あんだ、てめぇ!!」
前に座っていた運転手らしきチンピラが俺に殴りかかってきたが、臆せずに話を進める。
「この若造、止めた方がいいんじゃねぇか?皇の名前、知らないわけじゃねぇーだろ」
「ほう、皇か。ククッ、面白い。星野からは手を引こうじゃねぇーか」
思ったよりもあっさりと手を引いたな。
「えぇ、気にせずとも、言った通りお金は払わせていただきますよ。そちらもこれがお仕事ですからね」
「星野との誓約書もろとも、あとで自宅にポストにでも入れておこう。ククッ、こちらとしても、皇とはコネクティングが欲しいからな」
「ありがとうございます。では、失礼しますね。横島組若頭、神谷弘雄さん」
俺が車から出るとすぐに車はアパートの敷地から出ていき、先程星野さんの205号室の前にいたチンピラたちもいなくなっていた。
トントントン
「琉兎、皇一樹だ。久しぶり、開けてくれないか?」
ガチャと扉の鍵が開いた音がした。そしてゆっくりと扉が開いた。
「一樹くん?」
「あ、琉兎のお父さん」
「きぃーくん?」
奥から疲れ果てた表情の琉兎が出てきた。
「琉兎!久しぶり!!
俺がイギリスに行ってる間にいなくなってるからびっくりしたよ。会えてよかった」
「きぃーくん、ごめんね。でも、僕に関わらない方がいいよ…」
そう言うと、再び部屋の奥に消えていってしまった。
「琉兎!!!……っ、外で少し話せるかい?」
「はい、大丈夫ですよ」
藤森には車で待機してもらい、琉兎のお父さんと2人で近くの公園に来た。
「借金…あるのは知ってるよね……?実はね、妻が友達のを肩代わりしちゃったんだよ。その友達に騙されてね。そのとき、離婚届出されたけど離婚しなかったのは僕の勝手だ。僕がその時、離婚していれば…琉兎は幸せになれたと思うよ」
「そうだったんですか。噂では親が借金して四国に夜逃げしたなんて言われてたんで……でも、なんで戻ってきたんですか?」
「妻が過労で死んで、親子2人で借金を返してたんだけど、いい仕事があるって言うからこっちの方に引っ越して来たんだ」
「でも詳しく話を聞いてみたら、AV男優の仕事だったと?」
「僕だったら構わない。けど、先方が望んだのは琉兎だった」
「四国に帰るに帰れず結局、ここに住んでいるということか」
「あぁ」
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