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「す、管原さん……?」
「影山が日向のいる位置、打つ位置にトスをあげる、簡単なことだろ?」
「いやいや、スガさん……いくら影山でもそりゃむちゃくちゃっすよ」
田中が影山をフォローしようと口を割る。西之谷も続ける。「確かにそんなこと相手からされたら手出し無用じゃないすか」
「だからするんだよ」
管原は強い意思のこもった眼を全員に向ける。
「烏野(うち)は個々はしっかり強いのに、なぜか負ける。練習を怠けてるわけでも、辛気臭い部内のイメージがあるわけでもない。何かが足りないから、負けるんだ。俺たちには、進化が必要なんだ。落ちた強豪と言われ、それを当たり前に鵜呑みにしてきた俺らこそ、退化してきたんだ。当たり前じゃないんだよ!新たらしく素晴らしい人材が入ってきた。これを期に、俺らも進化しようじゃん。勝とうよ、皆で!」
両手を広げて熱弁した管原を、各々が圧倒されながら聞いていた。
「その進化として、まず日向と影山はタッグを組むんだ」
管原の説得力には、澤村もため息をついて肯定する他なかった。
「おい、日向。お前はさっきの管原さんみたく、フェイントかけてレフト側に走り込め。んで、飛んで思いっきり高い打点から腕を振れ。俺がそこにトス、あげてやる……」影山の肯定や感動は行動で示す。
「分かった!」日向はボールをだされ、影山に拙いなりに丁寧にボールを返す。
そして、言われた通り、一旦ライト側のBクイックに位置するところで足を踏み込み、ジャンプすると見せかけて俊足でフェイントをつく。
そこから移動しながら飛ばなければ、影山がボールを触れて間に合わなくなる。
日向は目にも止まらぬ早さで、片足で踏み込みめいいっぱい飛んだ。
目をつぶったまま、自分の最高到達点まで飛んだと認識して、腕を振った。
さっき管原からレクチャーしてもらったように、勢いに負けながらも腰を回せるだけ回して力を倍増させた。
その瞬間に、影山がボールに触れた。
バシュ、と素早いセットアップ後に、聞こえたのは二つの音だった。
日向の掌がドンピシャでボールに当たった音。
その打ったボールが、アッタクライン付近に叩き付けられた音だった。
管原を始めとする部員たちは、その一連の早業に目をぱちくりとさせた。
そうしろと提案した管原本人も、影山の寸分の狂いもないセットアップには「神業」だと思わざるを得なかった。
これが移動攻撃(ブロード)の第一球目だ。
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