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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
ハッピーショコラ!!! ■一粒目■ By.はにら35 腹黒思考
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1月も半ば、「めっちゃ寒い!コレ雪降るんちゃう。うー。さむさむ」
朝は日陰の秋葉原の事務所で、ソウジは今日もMac前で作業中。
タカヤナギの背中越しに見えるパソコンの横には、キャビネ版の先日の着物女子姿のソウジと皆のモノクロ写真が飾ってある。
ソウジはちらりと見えるそれを、恥ずかしいからやめろと言ったのに、隠しても隠してもタカヤナギがきっちり見つけてきてその定位置に戻しているので、3日で諦めた。
***
デザインの作業が一段落して、タカヤナギの背中に声をかけた。
「タカやんセンパーイ、昨日の見積り、これでええんですか?なんかあそこの、ややこしいんで、見て欲しいんですけど」
「んー、あれな。銀座にも卸してるんやろ、チョコにしては単価が高い物やしそれなりに取れる思うてんけどなぁ、ごねてきたからもう少し下げとくか…。
金があるんやし、サンプル見て気に入ったんやったら、それなりのいいもんを作らせて払うんが店としては、一番やのになぁ」
「ん?」
「見積りでごねても、ただ合わんかったってだけでな、それなりのもんしか作ってこおへんちゅうねん。そんならシロートさんの作ったんで満足しときゃええねん、新しいのん作らんでも」
タカヤナギは振り返って身体を半身こちらへ向けて、珍しくキビシい口調に尖った目で言い、ソウジは驚いて顔を覗き込んだ。
「とは、言わないでくださいよ!?…びっくりしたわ、タカやんセンパイどしたん、いっつも先生相手にあんなに腰低いのに、なんで?」
「言わへんわ。…あいつオマエのこと舐めた眼でじろじろ見てたやん、はじめこのデザインがええって言うてたのに結局ごねやがって」
「えぇ、それでなんか刺のある言い方なんすか?もー勘弁して下さいよ、仕事は仕事」
「わかってる。この見積りは、こっちもチーム組んで大掛かりになるから、人件費も考えてここは譲れへんな。オマエも日中忙しなるから、覚悟しとけ。でも徹夜はさせへん、夜は来週もやけど着物やからな!」
「はーい」
「ほな、これで。ファックス送っとく」
***
この会社はネット販売と小さい店舗で売り出し中の、conte de fee というチョコの販売店だが、もともと知り合いに頼んだというサイトで高級チョコを販売していた。
受け取った資料の中には、かわいらしいチョコのサンプル写真がキラキラのエフェクト処理をかけて載せられていた。
大きさは、2cm程度の正方形。厚みがあるチョコ。プリントされた絵柄も凝ったデザインの配色がされている。色はパステルカラーと原色を組み合わせ、金や銀でトッピングされていた。
タカヤナギが季節の企画物としてバレンタインのチョコレートを売るために、サイトを一新したいとの話を持ちかけられたのは12月も末のことだった。
打ち合わせに来たのは、店長のサガ、年のころは35歳くらい、落ち着いた声のすっとした顔のダンディな優男といった風情で、チョコを作っているというのにふさわしい甘いマスクだった。同じ年頃にしてはタカヤナギとは大違い。
それに営業窓口担当のクロハラ。
くるんくるんの柔らかパーマの丸っこい童顔で、アイラインもばっちりでつけ睫毛ばっさばさの頭頂部前斜め上35度あたりから声が出ているような、甲高い声の女の子、24、5歳くらいのおっぱいのでかい胸の開いたブラウスにパンツスーツの可愛い系ビッチ。
ソウジはちらちら見えそうで見えない胸の谷間にデレて、サガに向かってなんでもやりますと尻尾を振り、タカヤナギが苦虫を噛み潰した顔で応対した。
それが、難攻不落といった様相を示したのは、この女子のせいだ、とタカヤナギは思う。
HPを作りたいという話が出て、ネットで検索して声をかけてくれたのは良いが、相場がわからず、スマホ対応のサイトを作成したときに、30万からかかってしまうとのことを伝えた途端に態度が豹変した。
この可愛い系ビッチさんが、そんなにかかるのはおかしいと言い始め、もともとあった身内の作成したホームページを見せてきて、これからそんなに値段が上がるのは、納得できないとのことで、タカヤナギが今の制作会社事情を伝えたのに、なかなかそれが伝わらず、差し戻して会社へ帰って来たのだった。
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