アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
ツンデレチョコレート by.ぷにこ
-
別にお前のことなんかマジでどうとも思ってないけど?
まあ、圭介がチョコほしいって言うから作ってやるよ。感謝ぐらいしろよ。
別に手作りなのは女集団の中で男ひとりでチョコを買うっていうことが恥ずかしかっただけだから。そこは勘違いすんな?
この、ガトーショコラだって俺もちょっと食べたいから作っただけだし。食べてうますぎてニヤけただけだから。
決して圭介が喜ぶところを想像したわけじゃないから。
それにしても上手にできたな…。
まるで神様が俺を応援してるみたい。
こんなおいしいガトーショコラ渡して、このまま付き合ってとか言われたら…。
可愛らしい緑と黄色の包装紙を重ねて包み、口の部分を金色のリボンできゅっと閉めたとき、ぼんっと顔が赤くなったのがわかった。
べっ、べべべ別に圭介と付き合いたいとかじゃなくて俺はその、あいつが勘違いしてそう言われたらどうしようって思ってしまっただけで俺が付き合いたいとかそういう感情は一切持ってないし、まず決してすっ、好…き…っていう訳じゃないし。
ドキドキと胸を高鳴らせながら自室へあがり窓を開けたその先に向かい合わせで窓がある。そこは幼馴染みの圭介の部屋。
圭介いるかな…。と、しんみり思った直後またかあっと顔が熱くなってきた。
部屋の中、暑すぎ!と、リモコンを使いエアコンを消す。
よし、これであとは渡すだけ。
と圭介の名前を呼ぼうとするけど、声がでない。あいつ今確かウイイレするって言ってたからいるはず。でも声がでない…っ。
最初にも言ったけど別に俺はお前がすっ、好きでこうやって手作りしたわけじゃないし。
付き合いたいなんて言われたらどうしようって困っただけだし。
喜んでくれたらなとか思ってないし。
そっ、そもそも男が男にチョコを渡すとか意味がわからんし。
ガラガラガラー…
「あれっ、きょんちゃんどしたの?」
そんなときにタイミング悪く目の前の窓が空いて、思わずささっと身を屈めて窓の下に隠れた。
た、タイミング悪いなんて思ってない。
渡すんだから都合いいじゃん。
「なんで隠れてんの?」
と、いうか圭介にバレてるし。
ドキドキと心臓の音が耳元で鳴り響く。
緊張なんか一切してないし、そもそも渡す相手、圭介だし。
おーいと、圭介が俺を呼ぶ。しかも笑ってる。
あいついつも笑う。人を見て笑うな!って言いたいけど今そんなこと言える心の余裕がない。
そろそろと上体を起こして恐る恐る顔を彼に合わせていく。
チョコを持ってる側の震える指先をぎゅっと押さえた。
目を合わせた瞬間その手を振り上げる。
「勘違いすんなよっ!」
「えっ?わっ、えっ、きょ―」
ガラガラ―
……ピシャン!
そして勢いよく圭介に投げつけて窓を思いきり閉めてしまった。
あああ、やってしまった。
やってくるのは、好きな相手に渡せた喜びよりも後悔の念。
圭介の反応が本当は怖かったんだ。
バレンタインの日に渡したい!っていう俺の気持ちが強かっただけ…。
よく考えればチョコほしいって呟いてただけだし、俺にくれなんて言ってなかったし…。
そもそも幼稚園の頃も手を繋ぐ時は俺だけ人差し指しか出してくれなかったし。小学生の頃なんか仲間外れにするし、なのに誘ってくるし。
すっげえ嫌な奴だったのに、中学に上がってバスケ部入って超格好よくなってるし、しかもそれからクラスのガキ大将はどこへ?ってぐらいちょっと優しくなったし、同じ高校行こうって誘われて進○ゼミ一緒にして合格できたし…。
好きになってもおかしくないじゃん!?
俺が女子だったらさ!!
そのあとスマホがブーブー鳴って、相手はもちろん圭介で、鳴りやんだと思ったらラインがきて相手はもちろん圭介だった。
圭介:今日きょんちゃんの合わせてチョコ12個もらったー
ま、マジ?圭介やっぱりモテるんだ…。
確かにバスケ超うまいし、格好いいし、ちょっとSっぽいとことかモテてもおかしくない。
あいつがチョコいっぱいもらうとかわかりきってたことだ。
だったら俺にチョコほしいとか言わなくてもいいじゃん。どれだけモテたいんだよ、お前。
俺、友チョコしかもらってないし。
返事を返さずにそのままにしていたら圭介から次々とメッセージが入ってくる。
圭介:この中でくれたこと付き合おっかな
圭介:でもきょんちゃん勘違いしてほしくないみたいだし、友チョコなんだよね?
俺:ちがうよ
って、うわあ。
なんで返事返してしまったんだよ俺のバカ!
けど、不思議だと思う。
電話と違ってメールの方が素直になれる気がした。
圭介:じゃあなんでくれんの?
俺:ほしいっていってたから
圭介:電話でてよ
俺:無理
圭介:はずかしいの?
俺:うん
圭介:じゃあいいよ、ばいばい
最後突き放されたような気がしてえっと固まっていたらお邪魔しまーすと、ノックも無しに部屋のドアが開いた。
あ、圭介。
慌てて逃げるようにベッドの隅に逃げて腰を下ろす。すると圭介もベッドにあがり目の前へと腰を下ろした。
バスケする奴ってなんで身長が高いんだろう。
すごく迫られている気がして、ごくんと唾を飲み込んだ。
別に圭介なんかにビビってるわけじゃないしと、目線だけは彼を見る。
「きょんちゃんさ、バレンタインの意味わかってんの?」
「だから言ったじゃん、勘違いすんなって」
「ははっ、自分で違うって言ったくせに。ラインみる?」
「…いや見ない」
「ちゃんと好きって言えば?」
「えっ誰に?」
「とぼけんな。てか鏡見てくる?今きょんちゃんの顔ちょー真っ赤」
耳まで真っ赤と笑う圭介にうるさい!と怒鳴りつける。
するとまた笑ったあと、何か思い付いたかのように意地悪な笑みを向けた。
「あーもういいや、10秒以内に好きって言わなかったらきょんちゃんとは付き合ってやんない」
「えっ」
「はいいーち、にー、さーん」
こいつ…モテてるからって上から目線で。
ふるふると口元を震わせ慌てふためいてる中、圭介のカウントダウンが10秒に近づく。
なっ、なんで俺が好きって言わなきゃいけないんだよ…!
「きゅー」
「…好きっ」
けど、その倍の倍の倍くらい好きって言えば圭介と付き合えるっていう気持ちのほうが強くて、変なプライドを捨ててそう告げた。
「えっ聞こえない、ちゃんと言って」
「はっ?おまっ」
「ほらはやく」
「す…好き」
「誰のこと?」
「お前…っ!ほんとマジで…」
「で、誰のことが好きって?早く言って」
「…圭介が好き」
「俺も超好き…ってかきょんちゃん大胆だよね」
「は?なにが?」
「ここベッドの上じゃん」
「は…あっ…わっ、やめ…っ、ろ!」
直後圭介は恭平から左頬にグーパンチをいただきましたとさ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 42