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木製の古びた戸を叩く音にフィルムを剥がしただけのおにぎりを袋に戻した。
「はい、どうぞ。
あ…」
その来客に、昨日の記憶が蘇る。
自分が何をされたのか、どんな姿を晒したのか。
顔が…見れない…
思わず俯いてしまった。
視界に入るのは自分の足元だけ。
悪い癖だ…
すぐに俯いて時が経つのをただ待つ。
「先生、お昼おにぎりだけ?
足りるの?」
「え、あ、はい…。
あの、用件は…」
相川の言葉を無視して古志はお飾り程度に置かれているソファに腰を下ろした。
キシっと軋むソファはスプリングもガタがきている。
なんで…
「1人で食べるの味気ないでしょ。
俺は味気ない。」
「……」
「それ中身なんですか。」
「…梅」
自分から聞いたはずなのにふーんと興味なさそうにコンビニの袋からサンドイッチを取り出し噛り付く。
なんで…
なんでそんな普通にしてられるんだ…
居たたまれなくなり古志に背中を向け、ただ昼休みが過ぎるまで素数を数えた。
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