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「きゃ、雨!?」
女の子の声に空を見上げると鈍い色の雲から水滴が落ちてきた。
グラウンドでの体育の授業中、突然の雨。
急いで雨の当たらない校舎陰に逃げるクラスメイトを横目に、グラウンドに面した生物室を見上げると丁度窓を閉めよとしていたあの人と視線が絡んだ。
「薫ー、風邪ひいちゃうよー。」
「そうだよ。
早くおいでよ。」
ポタポタと髪を濡らし、皮膚を伝い落ちる雨も気にならない。
それ程にあの人から目が離せない。
「古志、なにしてんだよ。
びしょびしょだぞ。」
「水も滴る良い男って?」
「薫格好良いもんね。」
呼ばれたのかすぐに窓を施錠して消えていったあの人は一瞬、困った顔をした。
そう
俺がさせた
「古志、笑ってね…?
熱でもあんじゃねぇの…」
「薫ってばぁ。」
「今行く」
ぐちゃっと足をとる泥も気にせず指定のスニーカーを汚しながら校舎陰に向かう。
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