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午後。賢斗を見送るとすぐに瑞希が俺の方へ寄って来た。
「ねえねえ!賢斗様のお部屋の掃除頼まれてたよね!?」
「まぁ......」
「僕なんか一回もしたことないのに、修弥すごいなぁ」
本当に感心した様子の瑞希は、掃除用具を取りに行く間も「いいなぁ」を繰り返していた。
「お前って賢斗......様のことほんと好きだよな」
この一週間何かといえば賢斗の話をしてくる瑞希。俺はその度にイラ立つのだが、瑞希が目を輝かせながら話すもんだから止めろとは言えないでいた。
今も俺は呆れながら言ったのに、瑞希はキラキラの笑顔で話し始める。
「うん。大好き!最初は怖そうな人だなって思ってたんだけど、実は優しくて紳士なんだよ!僕、賢斗様になら抱かれてもいいかも」
「はぁ?」
バカかこいつ。と引いた目で見れば、瑞希は慌てて両腕を振った。
「そっ、そんな顔で見ないでよ!それほど尊敬してるっていうこと!」
「いや別にお前が男を好きでも良いけど、男同士で抱くとか抱かれるとか出来ないだろ」
俺はゲイではないけど、だからってゲイのやつを否定しようとは思わない。でも、いくら好きでも同性同士でアレコレは出来ないだろうと思って言えば、瑞希は口を開けて唖然とし始めた。
「え.....修弥、本気で言ってる?」
「あ?大真面目だっつうの。バカにしてんのか、お前」
瑞希の視線が気に入らなくて睨みをきかせれば、瑞希は肩をビクリと震わせて首を振った。
「い、いやいやいやっ!バカにはしてない!してないけど......」
「何だよ。言いたいことあるならちゃんと言えよ」
「......さーっ、仕事仕事!」
「あっ、おい!!」
逃げられた......。
走って行ってしまった瑞希を追いかけて本音を吐かせたいところだが、賢斗が帰ってくる前に掃除を終わらせなければならないから俺はしぶしぶ賢斗の部屋へと向かう。
完璧に仕上げてあいつをあっと言わせるんだと意気込む俺だが、あっと言うのは自分だということに今の俺は気づいていなかった。
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