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聞きたくない
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「普通なんてできるわけないでしょ
だって彗は俺のこと好きじゃないから」
そんなことを言う慧にイライラしたのかもしれない
だからきつく当たったのかもしれない
「親父は僕らのことを道具同然にあつかっとうかもしれん。
けどな?あの厳しい稽古とか勉強のあとに二人で励まし合ったあの日忘れたんか?
それに唯一自由にしてくれたのは母さんだよ。それも忘れたの?」
「忘れ…忘れてなんか…ない!
忘れるわけないやん!!!
彗のこと大好きやよ、お父さんもお母さんも大好き。
だって家族やもん。
だけど…知ってるんよ?
毎晩毎晩お父さんと楽しそうに話してるんだよね。
羨ましいよ、俺だってお父さんと話したい。でも彗は跡取りだから大切にされるんだよね、俺がお父さんに話しかけるとめんどくさそうに『ああ。』しか言わない。」
たしかに毎晩話してるけど、話す話題は全部慧の事だ。
「慧、聞いて。」
「いやや…もうなにも聞きたくない…
まふのところ行ってくる…」
そう言って慧は泣きながら僕の横を通った。
ドラマとかでよくある横を通ったときに手を掴むなんて事できなかった。
僕はただ慧の横顔を見てることしかできなかった。
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