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異常なほどの熱を放つ顔に、気持ちを見透かされるのではと危惧した楠田は、思いつきを口にする。
「あ~っ!!…そういやさ。」
混乱した頭で、楠田は頑張って喋る。
「俺の日課表、見てみるか??」
「え…っ!?」
突然の申し出に、後輩は相手の意図を把握できなかった。楠田は、落ち着きなく身体を揺らす。
「ほら、その…。俺、今年けっこー色々な授業を受けているからさ。中には一つくらい、お前と同じ授業に参加しているかもしれねーじゃん。」
お前は俺の顔が見たくてたまらねんだろ、とからかい口調で付け足すと、後方から上機嫌な返事が響いてくる。
「…はいっ!!」
いつしか、楠田を拘束していた後輩の腕は解けている。先輩がふーやれやれと新たな一歩を踏み出した、直後。
あ、でも…と後輩の声が飛んでくる。
「…先輩、俺以外にはこんなチョロく懐かないで下さいね。」
「・ ・ ・。」
楠田は後輩の正面へと回れ右して、若干涙目になって吠える。
「チョロくねぇし、そもそも欠片も懐いてねぇよっ!!いいか、てめぇなんかな、ただのノート要員だからなっ!!心して板書しろよ!!」
睨みつけてくる先輩に、榎野は満面の笑みを浮かべる。
「ええ。…楠田さんのために、俺、精一杯頑張りますね。」
貶した相手に持ち上げられ、あっけにとられた先輩は口を噤む。
「お…。」
「お??」
先を促す榎野に、先輩は本音をぶちまける。
「お前なんか、やっぱ大っ嫌いだぁぁぁっ!!」
レストランの中庭に、楠田の雄叫びが谺した…。
席に戻った二人だが、楠田は不機嫌なままだった。ぷくうと頬に空気を溜め込んで明後日の方向を向き、後輩と口をきこうとしない。
「楠田さん、何か癪に障ったんなら謝ります。だから、こっちを向いて下さい。」
話をしてくれないのが一番困ります、と榎野が続けても、先輩は視線を合わせようとしない。
「…楠田さ~ん。」
ビクともしない男に焦れたのか。榎野は指先で、相手の膨らんだ片頬をツンツンと突く。
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