アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
甘いセリフが似合う不良
-
指先に、温かいものが触れた。
それが高槻の唇だと認識する前に、ちゅっ、とリップ音を立てて高槻の顔が離れていく。
今、俺、何て言われた?
じわじわと顔が熱くなっていく。
「はは、真っ赤」
ふわ、と優しく微笑まれて、俺は我に返った。
「えっ、あっ、ど、ゆこと?」
「一目惚れしたの。お前のことが好き」
「すっ!?」
なに言ってんだこいつ!?
ひ、一目惚れって、何で!?いつ!?
「好きなの。ね、俺と付き合ってくんない?」
「なっ!?」
今度は手の甲に、きっ、キスされた。
振り払いたいのに、手をがっちり掴まれてるせいでびくともしない。
「ひ、ぁの、やめっ、」
高槻の唇が段々と上に登ってきて、俺は必死に逃げようと腕を引いた。
でも、力じゃ敵わない。軽いリップ音が俺の手を徐々に登ってくる。
俺の手首のあたりで、高槻がニヤッと笑った。
「白亜ってさ、焦ると幼っぽくなるよな。かわいい」
「かわっ!?」
かわいいって、俺男なんだけど!?
「あと、すごいきれい。染めないで、ずっと銀髪でいればいいのに」
そう言って、高槻は俺の髪を手に取った。
口元に運んで、また――――。
「もったいない」
顔から湯気が出そうだった。
イケメンがやると目に毒過ぎる。
キザな動作も、甘いセリフも、高槻には怖いくらい似合っていて。
咽返るような色気に、頭がくらくらする。
「ね、返事は?」
柔らかく微笑まれて、いよいよ気絶しそうになったとき、
「…くくっ」
雰囲気をぶち壊す笑い声が聞こえた。
さあっと血が下がって、俺は一気に冷静になった。
高槻の背後で笑いをこらえている御手洗と、御手洗を呆れたように見つめる松原が視界に入る。
御手洗と松原の存在を、すっかり忘れていた。
「……ちょっと和泉ぃ…」
「っ、すまんすまん。だって、仁、いつになくマジやから…っ」
俺と高槻を交互に見て、御手洗が必死に笑いを噛み殺す。
………ぜんぶ、見られてた。
ショックでふっと意識が遠退きかけた。
「人の一世一代の告白を…」
不満げにため息をつく高槻の、顔がまともに見れない。
さっきまでとは違う意味で、ここから逃げたかった。
穴があったら入りたい、というかもう蒸発したい。
「っ、帰る!」
「待って」
くるりと踵を返してドアへ向かうと、後ろから腕を掴まれた。
びくっと体を震わせて振り返ると、掴んでいたのは案の定高槻。
「そのまま帰れんの?」
銀色のままの髪を指差され、俺は動きを止めた。
……無理だ。
たぶん今は授業中だろうけど、誰かに会わないとも限らない。
それに、寮監とか掃除の人は授業中でも関係なくいる。
黙りこくってしまった俺に、高槻はニヤッと楽しそうな笑みを浮かべた。
「大丈夫。俺が送ってってやるよ?」
「は?」
「和泉ー」
「はいはーい」
ニヤニヤしながらバスタオルを広げた御手洗が近づいてきて、俺は思わず逃げの体勢に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 25