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雨が降っている。
土砂降りだ。雨脚が酷く雨に打たれた所が少し痛い。
でもそんな感覚ももう少ししたらきっと無くなる。
寒いという感覚でさえ無くなってきているんだ。
痛いも無くなるだろう。
ぼうっとどこを見るわけでもなく前を見る。
俺はビルの壁にもたれかかっていて、膝を抱えて座っている。
狭い路地裏だから前を見ると言ってもただの濡れた壁
その壁をただただ見つめていた。
だから、気付かなかった。
自分の目の前に大柄な男が立っていて、傘を傾けている人がいた事に。
「そこで何をしている?」
この人もまた感情がかけているのか何の感情も感じ取れない。
少しだけ親近感をこんな状態でも湧いてしまった。
「別に」
「帰らないのか もう深夜の2時だぞ」
俺がここに来たのは何時だっけ
まだ日が上がっていたはずだからかれこれ8時間は経っていたのか。
少しだけ驚いて目を少しだけ大きく開けた
「帰らないのか」
この人は誰なのか。
質問しようとすれば出来るがそんな事に興味はわかない。
だから聞かれた質問だけ答える
「帰る場所を無くした」
それだけ言うと開いた目を伏せて膝に顔を押し付ける。
「…一緒に来るか」
普通の人なら行かない。
小さい子だって知らない人にはついて行かないと教えられているだろう。
でも俺は教えられてない。
ここで死ぬにしろこの人に殺されるにしろ時間と場所が変わるだけだ
興味が無い。
どうでもよかった。
「いいよ」
一言、俺はそう答えた。
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