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篠田さんとのドライブを満喫、出来るわけもなくあっという間に組についてしまう。
建物に入ってしまえば俺と篠田さんは別行動。
出来ればもう少し、もう少しだけ車内で篠田さんを独占したい。
自分なんかが独占などあつかましいから口が裂けても言えないけれど。
「着いたぞ、もう1人で力翔んところいけるか?」
「…まだ、道あやふや」
嘘。
本当は一人でちゃんと行ける。
でも、篠田さんと少しでも長くいられるなら、と思いついてしまった嘘。
嘘をついてから、後悔した。
篠田さんは危ない仕事をしてるけれど、真面目な人。
嘘をついたと知られれば嫌われる。
それが耐えられなくて俯くことしか出来なかった。
「そうか…でも俺も急がねぇとなぁ…月希に任すか…でもなぁ…」
篠田さんは一人でぶつくさと言っている。
どうやら嘘も虚しく他の人に任せるみたいだ。
でも今更ひとりで行けると言うと怪しまれそうなので黙るしかない。
るい…また新しい名前だ。
最近、色んな人と知り合う。
俺の小さな世界にはあの人しかいなかったのに今では篠田さんを始めりっちゃんから波谷さん、その他にも少ないけれど知り合いが増えた。
怖いことで嬉しいこと。
「…よし、月希にメール送っておいたから時期に迎えに来る。それまでは一緒に待っててやるよ。
そうだ、せっかく買ったんだから香水、早速つけてみるか」
荷物から香水を2つ取り出して篠田さんが一つを俺にくれる。
やっぱり、篠田さんは優しい。
結果的にもう少し一緒にいれることになったし。
一旦車から降りて香水が入っている箱を丁寧に取る。
箱も綺麗だから取っておこう。
取り出すと綺麗な香水の瓶が姿を現し、暫しそれに目を奪われる。
まるで宝石みたいにキラキラしている。
篠田さんがシュッと1回だけ香水を吹き掛けた。
それに習って俺もシュッとかける。
ラベンダーのいい香りがして、心が安らぐ気がした。
「いい香りだな」
篠田さんも心做しか嬉しそうに顔をほころばせるから俺はさらに嬉しくなる。
この時間が永遠に続けばいいのに。
そう思っていると
「組長っ!お待たせしたっす!!」
と、とても大きな声が聞こえてきて時間が来てしまったと察してしまった。
「来たか、わざわざ外にまで呼んで悪ぃな。
真、こいつが式波 月希(しきなみ るい)。
力翔んところまで案内してもらえ。
頼めるな?」
「はいっ!よろしくね、真君」
よろしく、と向けられた目線の先に俺なんかは映ってなくてずっと式波さんは篠田さんを見ている。
この人、知ってる。
俺が最初に組の中に入った時に1番反対した人だ。
正直、この人について行きたくない。
でも、これ以上迷惑なんてかけられるわけないから「…よろしく」ととだけ小さく返した。
「じゃあ行こっか、
組長、頑張ってくださいっす!」
明らかに好意を感じられない話し方に篠田さんの時とはまた違った胸の苦しさがある。
痛いのは嫌いだ。
早くりっちゃんの所へ行きたい。
「おう、じゃあな、真、いい子にしとけよ」
そう言って俺に渡してきたのは先程買ったサンドイッチの材料とくーちゃん。
くーちゃんを抱き締めると少しだけ落ち着ける気がした。
「いい子にするから…」
早く迎えに来て
とは言えずにそこで口を閉じた。
歩き出した式波さんのあとを急いでついていく。
俺より背が高く完全な金髪。
後ろから見てるだけでも怖さがある。これがヤクザなんだって、実感する。
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