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26、
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さっきから人気のない廊下をずっと歩いている。
通ったことのない道。
りっちゃんの所へ行くのには何種類かルートがあるのかなぁ…
ぼんやり考えながらついていくといきなり式波さんは立ち止まって危うくぶつかりそうになってしまった。
「お前ほんとまじなんなの」
猫をかぶってない本当の式波さん。
敵意剥き出しで、正直怖い。
「…何にでもない…」
小さく答える。
なんなのと聞かれたって何にでもないのだから答えようがない。
ふーん、と興味無さそうに言ったと思えばいきなり胸元を捕まれ壁へと押し付けられた。
あまりに一瞬の事でよく分からなかった。
どうしてこんなことになっているのか。
驚き過ぎて荷物と、くーちゃんを自分の足元へ落としてしまう。
訳も分からず硬直していると式波さんの顔が俺の首に物凄く近付けられた。
逃げようにも自分の足の間に式波さんの足を無理やり入れられたから動きようがない。
「組長はあんな香水好きじゃない。
お前と同じ匂いがするものなんて誰が付けたがるんだよ。
調子乗ってんじゃねぇ」
耳元で、はっきりそう言われた。
自分の行動を振り返って何も言い返せない。
だって、
調子に乗っていたのだから。
優しさに甘えて、付け上がっていた。
涙がこみ上げてくるけれど、それが悲しいからなのか悔しいからなのか、どんな感情から来るものなのか、自分には分からない。
「組長ってさぁ、優しいけどかなり独占欲強い人なの、出さないようにしてるみたいだけどずっと見てるから分かる。
きっとお前は大切にされてんだろうね、でもさぁ、ここに跡なんて付けられたら組長はどうすると思う?」
ツーっと首を撫でられて身体がビクつく。
気持ち悪くて仕方ない。
「教えてあげる、
他のオスの印がついたメスなんて簡単に捨てる。
お前は捨てられる」
「何言って…やッぁ…!!」
ガリッと小さい範囲での痛みがヂリヂリと主張してくる。
ちゅっうっ、とかなり強く吸われてから式波さんは離れていった。
鏡を見るまでもなく、跡がつけられたことが分かってしまった。
「うわ、お前、肌白いから赤がよく映えるな。
良かったな?ちゃぁんと組長に見てもらえるぞ」
楽しそうに笑う式波さんが悪魔に見えた。
あの人と、姿が被る。
でも、それ以上に、篠田さんに捨てられるという恐怖心の方が明らかに勝っていた。
式波さんが俺から離れて、俺は自由になったのに、足がいうことを聞いてくれずその場にへなへなとしゃがみこむ。
場所から考えて隠せない。
嫌われる…。
怖くて怖くて涙が止まらない。
「お前さぁ、男の味知ってんだろ?
組長とヤりたいだけなら俺が掘ってやるよ、嬉しいだろ?」
「違うッ…嬉しくなんかないッ…!」
なんで、逃げた先に叔父さんみたいな悪魔がいるんだろう。
なんで、逃げたはずなのに…
感情がオーバーして、視界が暗くなる。
こんな現実嫌で嫌で、簡単に意識を 手放した。
篠田さんに、捨てられたくない
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