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月希がここに来た時は、真くんのようにすべてに怖がっていた。
…いえ、真くんよりも、の方が正しいわね。
月希は10歳の時にここに来た。
空に抱えられて。
「ちょっと…どうしたのよその子」
「借金の肩代わりだ、文句はねぇだろ」
この子に大金に変わるほどの価値があると思ってるの?
そう言いかけて、やめた。
月希は空の腕の中で怯えて傷だらけの自分の体を自分で抱き締めていたから。
「月希くん、ご飯食べようか」
「オカマのご飯なんか要らない!!」
事ある事に反抗して、組の連中も、私も手がつけられなかった。
それでも連中が手を出さなかったのは空という大きな存在が背景にいたからだ。
「月希、ご飯は食べなさい。誰が用意してやってると思ってんだ。
お前を生かしてくれるのはここにいる奴らだ。
そいつらに向かってオカマだのなんだの言うのは利口とは思えないぞ?」
「…わかった」
月希は空の言うことしか聞かない、
逆をいえば空が言ったことにはなんでも従う
そんな子に育ってしまった。
「…糞ガキ…」
空のいうことしか聞かない五月蝿い奴。
そんな奴の面倒なんか見てやるもんかと、下手に出るのはもうやめた、
…否、オカマと言われたのに頭きたのが正しいかもしれない。
空を好きになってしまった真くん
空にしか心を開かない月希
似ているようで似てない2人。
月希はこれから真くんを処理する事に時間を費やすのだろう、
今回は良くも悪くもキスマークだけだったけれど、次は殺しにかかってくるかもしれない…。
「空、真くんと話し終えたわ」
ガチャ、とリビングのドアを開けて空に声を掛けると空は考え込んでいるのかダイニングの椅子に腰をかけていた
「そうか…どうだった?」
「どうもこうも無いわ、真くんは自分から出ていったんじゃないもの」
真くんとの約束、簡単に破って空に真くんにあったことを伝えた。
こんな仕事柄、嘘を見抜くのも嘘をつくのも特技になっている。
空と対角線上にある椅子に腰掛け、私も気乗りしない、明日の事を少しだけ触れてみた
「明日、でしょ、あの子との約束の日は。
真くんはどうするの?私のとこに置く?」
「…月希がいる以上解決するまで真は組に入れさせない。
家にいさせる。」
ふぅ、と空はため息をついて明日のことを考えているのか遠い目をした。
山口組の組長の娘、山口花蓮(やまぐち かれん)
とても可愛らしくそこら辺の女の子とは比べ物にならないほどの美貌の持ち主。
山口組の組長と篠田組の前組長が仲良いのは昔からだった。
そう、所謂お見合い。
空はそんな気は無いとずっと断り続けたていたけれど、真くんのために、明日は街に出てデートという名のお見合いをする。
「明日の事もあるな、面倒だ…。
まぁいい、
今日はもう遅い、送っていこうか?」
「いいわよ、乙女だけど守られるような女じゃないからね」
その代わり、真くんを安心させてあげて。
お見合いできっとまた更に不安にさせる筈なんだから…
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