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53、
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コト、と机の上に出されたお茶。
だが、それに何が入っているかなんて分かったものではないから敢えて口はつけない。
「わざわざ呼び出して何を話したいんだ?」
遠まわしに聞くのは好きじゃない。
真っ直ぐに相手を見る。
だが、髑髏龍の若頭…辰巳(たつみ)は見ていて気分が悪くなるようなニタニタした笑みを浮かべているだけだった。
この件にはどうやら裏がある。
それを瞬時に掴むも証拠はない。
ここまで内部に入った園島にとっては物的証拠の一つや二つ、手に入れて帰りたいだろう。
「まぁ、そんな怖い顔しんといてぇなぁ、
それにしても、随分整った顔やな、汚したくなる」
何を思ってそんなことを今ほざいているのか訳が分からないが、寒気や悪寒がすごい。
さっきから居心地が悪いとは思っていたが、その理由はどうやら相手が自分のことを厭らしい目で見てきていたからだとようやく気がついた。
「冗談はよせ。 俺にそんな趣味はない。」
他人に汚されるなど、自分が自分を許せない。
随分舐められているようだ。
「そんな趣味はないぃ?
よく言うわ、お家に可愛い可愛い少年を飼ってるくせに。」
「お前、何でそれを…」
出てきた言葉に驚き以外の感情が湧かなくなって声も掠れた。
そんな俺をみた辰巳は笑みを消して
「もうそっちには会のモンが行ってる、
少年を助けたいならちぃと大人しくしててな?」
と言ってきた。
「…目的は」
真まで巻き込むわけには行かない。
俺が大人しくすれば済むことなのだろうか。
「目的なぁ…、強いて言うなら少年とあんた、とでも言っとくよ、」
それはつまり、何をした所で真を巻き込む事になるのだろうか。
なんだか、真が絡むと冷静になれない。
「…俺はともかく、真には手を出すな。
真に手を出したら…殺す。」
組長!!と四季が咎めるような声が聞こえるが無視だ。
真は俺が守る。
今自分の理性を留めていられるのは真のおかげでもあるのかもしれない。
「そんなにその、真ってやつが大事なんやねぇ。
そんなに止めたいならさ、これ飲んだら止めてあげてもええよ?」
辰巳が2、3言、側近に声を掛けて暫くし持ってきたのは錠剤が二つ。
真っ白でどんな薬かは分からない。
「それはなぁ、ちぃと初心者には刺激が強いかもしぃへんけど、暫くしたらキモチィくなるお薬なんよ」
楽しそうに言っているがこちらに警察がいるなんて考えてもないのだと思うと笑えてくる。
だが、言わばここは取引の場、今取り押さえたところでこちらは救われないだろう。
「…飲んだら真には手を出すなよ」
いいな?と念押しし、わかったと言ったところで二つの錠剤を手に乗せる。
くいっ、と一つは飲み込み、一つは手に隠す。
しっかり飲んだことを辰巳は目認すると、また楽しそうに笑った。
「ちょっと、組長!!
勝手なことしないでくださいよ、毒だったらどうするんすか!!」
「真が嫌な目にあうよりはマシだろ」
愛やなぁなどと浮かれる辰巳に心底イラつく。
「飲んだんだから、約束は守れ」
「何処までも強気な所、ええわぁ、
泣かしたくなる。
でも、まぁそうやな、駿我に連絡してくれ」
駿我とは誰か、辰巳の部下か。
なんだか、頭がぼーっと霧がかかったみたく働かない。
薬のせいか。
1粒でこの効き目ならば2粒飲んだ時には危なかっただろう…
「園島、携帯を貸せ、真に連絡を取る。」
園島はここでは俺が絶対だと知っているからか素直に携帯を差し出してきた。
その手が触れ合った僅かな瞬間に手に持っていた薬を園島に渡す。
これで携帯の必要性は無くなったのだが、怪しまれないために自宅に連絡をかける、
が、
いくら待っても繋がらなかった。
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