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家にも、華にも電話してみたがコール音しか鳴らなかった。
もう遅いとかそんなわけない。
そう思いたいが嫌な予想が頭ん中を駆け巡る。
まともな思考回路が見当たらなかった。
「さぁて、駿我も呼び戻した事やし、もう余計な事考えんくて良くなったな?」
真は無事だったのか。
こちらの電話が繋がらない以上、こいつから情報を聞くしかない。
「…真は。」
あぁ、口を開くのもだるい。
「手ぇ出す前やったみたいやったけど?」
そうか、と答えるのも鬱陶しく、返事はしなかった。
頭がうまく働かなく、喋るのも上手くいかない、こんなもの、薬の種類は麻薬かなにかの類で間違いはなかった。
「本当にお前は何したいんだよ」
抗争を吹っ掛けてきたり、真を狙ったり、俺に薬を飲ませたり。
目的が見当たらない。
「略奪愛ってええよなぁ?」
俺の話には耳も貸さずにそんなふうに言ってくる。
こいつの頭はイカれてるのか。
俺が何も反応せずにいるといつの間にか辰己は俺の目の前に来て座っている俺の目線に合わせてきた。
いつもならどうにか出来ることも今は身体が言う事を聞かない。
四季達も一瞬の事で驚いているのか声すらあげなかった。
「…誰と誰の愛の間に入ろうとしてんのかは知らねぇが、俺と真のことを指してんならお前の勘違いだ。」
俺が真を拾っただけ、そんな関係の間に愛だの恋だのは存在しないのだから。
「へぇえ?
なら普通にアンタを奪うため、目的はそれでええよ?
下で泣いてもらえればそれでええんやから。」
スッと俺の肩に手を回してくる。
間近で辰己を見ても勿論可愛くなんてなく、こいつは俺を掘りたい側だろう。
気持ち悪くて仕方が無い。
「…組長、終わりました。」
四季が静かに口を開く。
ここに来る前、
俺が危ない時は下に固めておいた篠田組の奴らで髑髏龍の奴らをこてんぱんにする、
そんな作戦を俺に話してきていた。
それでは名ばかりの話し合いも意味は無くなるのだが。
いつの間にかその作戦は実行していたらしく、音もなく下で戦っていたらしい。
その一言で一連の事を読めた俺はあまり言うことを聞かない体に鞭を打ち、辰己を払い飛ばして立ち上がった。
「なにす…ッ」
「悪いが、もう優秀なうちの組のもんがこの話し合いっつーものの意味をぶっ壊してくれたみたいでな。
俺は誰かの下で泣くなんて事は誰の前でもしない。
ましてや、お前に泣かせられる?
有り得ないだろうな、
まぁ、お前が泣かされたいと言ってきたとしても俺が手を掛けるはずないがな?」
自分より低い位置にいる辰己を見下す。
辰己は驚きの目をしていたが頬は紅潮しており、興奮しているようだった。
「気持ち悪い」
それだけ言い残すと四季達に行くぞ、と声を掛けることもなく部屋をあとにする。
とても下らないことに時間を潰してしまった。
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