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さっきの家の前に着いてすぐに呼び鈴に手を伸ばした。
鳴らしながらベランダの方を見ると、さっきの手は見えていない。
でも、きっとあれは見間違いじゃない。
強い確信が俺を動かす。
「すみませーん。誰かいませんか?」
誰も出ないので玄関に向かって呼びかけたけれど、しんしんと落ちてくる雪の音が聞こえそうなほど、静けさは増すばかりだ。
「・・・失礼します」
無断侵入だけど、入るしかない。
嫌な予感がする。
幸い、家の鍵はかかっていなかった。
防犯装置も特になさそうだ。
その場で柴田にメッセージを送り、少し待つように伝える。
「うっ」
玄関から歩いてすぐの扉を隔てたリビングは、酷い有様だった。
「どんな生活をしてるんだ・・・」
薄暗い部屋の中に何10本もの酒瓶が転がり、棚やガラステーブルは倒れていて、ソファはところどころ破け、中の綿が散らばっている。
おまけに食べ物のカスや液体、食器の破片や、・・・血・・・だろうか、そんなもので床やそこら中が汚れていた。
無残な室内だけでなく、立ちのぼる悪臭に気分が悪くなる。
こんな中で、
「・・・っ」
回らない思考回路に小さな手が散らつき、背筋が粟立った。
床に何とか踏み場を作り、階段に急ぐ。
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