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「・・・っだ・・・めっ・・・で、す」
埒があかなくて、柴田に連絡しようと携帯を取り出した時、小さな、苦しそうな声が聞こえた。
「・・・え?」
「・・・ふっ・・・は・・・はなっ、しっ、て、はぁっ・・・くださ・・・っ」
見れば、男の子が肩で息をしながら、俺の手を見ていた。
まるで、俺に触られることを申し訳なく思うように。
「・・・わかった。
でも手を離すから、とりあえず、俺に合わせてゆっくり呼吸してほしい」
言いながら、男の子のすぐ近くに、ガラスの破片と切れたロープが落ちているのが目に入る。
手首も車窓から見えたものに違いなく、縄模様に真っ赤に腫れ上がっていた。
十中八九、今まで縛られていたんだろう。
「っはぁ・・・っは、はぁっ・・・」
このままここにいるべきじゃないと思うし、聞きたいことはあるけれど、何より呼吸を整えることが先決だった。
震える青白い唇が、今にも死んでしまいそうな予感をもたらす。
ゆっくりと手を離し、背後から隣に移動した。
「できる?」
男の子は喉を抑えながら、首を縦に振った。
「いい子だ、大丈夫。
じゃあ短く吸って、吐いて、そう。もっと深く吐いて、短く吸って・・・」
「はっ・・・・・・はぁ・・・ふっ・・・ぁっ・・・」
震える体を抱きしめながら、蹲って懸命に息を吐いている。
目が虚ろだった。
傷も痛むだろうし、いっそ意識を手放せた方が楽だろうな。
「上手。ゆっくり、もう少し」
せめて背中を摩ってあげたいけれど、伸ばしかけた手を止めて座り直した。
きっと、また怯えさせてしまうだけだろうから。
「苦しいよね。ゆっくり、ゆっくり」
『要、ゆっくりな。焦らなくていい』
あの時のことが役に立つなぁ、とぼんやり思う。
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