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それから20分ほど経っただろうか。
呼吸が落ち着いてきた男の子が、フッと電池が切れるように横に傾いた。
倒れる。
咄嗟に腕を伸ばして受け止めた。
初めて小さな子を抱き上げたけれど、思っていたようなものじゃなくて、その見た目以上の軽さに驚く。
「いくらなんでも軽すぎるよ・・・あっ」
太ももの傷に当たってしまったのか、右手に血がついた。
乾いた絵筆で荒く擦ったような赤い血に、やっと現実感が湧いてくる。
それは、昔ドラマで見ていたような大量の血より、よっぽど生々しくて。
同じ箇所に当たらないように抱え直すと、男の子の唇が一瞬震えた。
「ごめん、痛かったね」
「・・・・・・」
「一体どうして・・・」
目を閉じた青白い顔から視線を上げて、狭くホコリ臭い空間を見渡す。
壁際に、机や棚が置いてあった跡がある。
階段側の壁に少し開いた襖と、部屋の隅におもちゃ箱のようなものが置いてある以外、何も無い部屋だった。
登ってきた階段には、誰かの外着と思われる汚れた衣類が脱ぎ捨てられていた。
この部屋の壁にも、1階と同じようにところどころ血痕がついている。
「よいしょ・・・・・・ぅわっ」
しゃがみながら、男の子を極力揺らさないように足の上に乗せて襖を開けると、中は下も横も血だらけだった。
何かで強く叩いたのか、凹んでいる部分もある。
最悪・・・いや、異常だ。
俺はその場で何度か深呼吸をして、携帯を出した。
「もしもし、柴田」
「はい。要様、大丈夫ですか?」
「うん。ごめんね。車をさっきの家の前につけてくれる?
うん。ありがとう。
・・・あと、今日、休めないかな」
ムカムカする胸を抑え、男の子の額をそっと撫でた。
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