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それからはあっという間だった。
逃げ場所はなくて、慌ててベランダの縁に登ろうとするも、体に力が入らなかった。
「・・・ちょっと!!」
なんとか上半身が乗りあがったところで、背後から大きな声がした。
そして、気づいたら冷たい手が僕の脇を押さえるところだった。
思わず叫びだしそうになるのを堪える。
「あーびっくりした・・・大丈夫?」
あの人じゃない。
わかったのはそれだけで、耳元で何を聞かれたのか、理解できなかった。
誰かがこの体に触っていることに、僕はパニックを起こしていた。
どうしよう。
どうしよう、何が起こってるの。
誰なの?
「・・・・・・ふっ・・・はっ」
僕の腕を離して。
離してよ。
僕は誰にも触っちゃいけないから、
お願い、離して・・・。
息が苦しくて、重かった胸が今度は熱く暴れて身体を支配する。
なんとか言おうとするのに、息苦しくて半分も言えなくて。
でも、その人は頷きながら腕を離してくれた。
「大丈夫」
そう言ってくれた気がした。
そこからは、よく覚えていない。
息はできるようになったけれど、身体のどこにも力が入らなくなった。
死んだのかなぁ。
そう思ったけど、景色がくるりと回って、天井と、誰のかわからないその顔が近くに見えて。
やっぱりまだ生きてるんだなって思った。
息をしてるんだから、当たり前か。
ねえ。
僕に、触っちゃ、ダメだよ。
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