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しまった。
何も声をかけずに、普通に家に入ったことを思い出す。
いきなり車に乗せられて、知らない場所に連れて来られて、
不安にならないわけがない。
「ごめん・・・言ってなかったね。
ここは、俺の家だよ」
そう言うと、部屋を見渡すように目を細めたかと思えば、床を見て、天井を見て、とにかくあちこちに泳がせる。
ソファを汚していないかということ、俺や柴田のことを気にしてばかりだったから、この部屋がどれぐらいの大きさなのか、ようやく認識しているんだろう。
不謹慎だけど、本当に綺麗な子だなと思う。
そして数秒後。
「・・・ご、・・・ごめ、・・・・・・なさい」
何を謝ることがあるんだか。
「ううん。俺が先に言うべきだったのに、本当にごめんね。
ここは俺が住んでるところで、世田谷にあるマンションの35階」
階数を聞いたそうたくんの目が、今度は忙しなく瞬いた。
「・・・さ・・・、・・・、」
「高いでしょ」
窓の景色見る?
そう言うと、視線が昼用の薄いカーテンを掛けている窓に移った。
角部屋だから、リビングとダイニングを兼用している24畳の部屋の一辺を、大きな窓が占めていた。
わかりやすく言えば、台形の底辺の部分が全部窓の状態。
「・・・」
こくりと小さく頷いたのを見て、ゆっくり手を伸ばす。
当然、俺の腕を目で追ってくる。
「毛布ごと、だからいい?」
頷きもしないけど、嫌がる素振りも見せなかったので、車から降ろした時と同様に背中と膝裏に手を入れてゆっくりと持ち上げる。
毛布の分さっきよりは重みが増すけれど、それでも全然腕に堪えなかった。
「筋肉だけは持ち合わせていないのに、それだけ軽いということですね」
「・・・ちょっと何言ってるか分からないな」
それは俺も気にしてんだ、これでも。
柴田も似たような体格だろ、と一度攻めたことがあるけれど、「体格と筋肉は比例しないです」と冷静に返されたっけ。
日頃の運動不足にそろそろ危機感を感じてはいる。でもその俺にくっついてる柴田が豊満な肉体っていうのはなんか違う気がするぞ。
「どう?」
柴田にカーテンを開けてもらい、景色が見えるように窓の前に立つ。
必然的に、ビルの合間に腕の中のそうたくんが映った。
自分の家に柴田以外の人間がいることが、長らく誰も入れていないだけに、不思議な感覚だった。
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