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1-14 蒼太side
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「・・・っ」
前も後ろも真っ暗なところに立っていて、
あの人の声が聞こえた気がして顔を上げたら、真っ白な天井が見えた。
どこだろう。
さっきとは違う部屋だ。
電気が違うし、ついていない。
窓も壁一面の大きさではなく、カーテンが締め切られていて薄暗かった。
『いないよ』
カーテンの隙間からさす光を頼りに室内をゆっくりと見渡して、そう言った声を思い出す。
あぁ、そうだ。
ここには、あの人は来られないんだっけ。
「そうたくん?」
「っ!」
くぐもった声がして、ドアが開く音がした。
つい毛布を顔まで上げて、・・・って、
ここ、ベッドだ!
「おっ・・・と」
なんとか肘の力ではい出ようとしたら、視界がガクンと下がって、真っ暗になった。
「っ」
「危ない危ない」
顔を上げたら、さっきの部屋で見た顔が目の前にあって、
鼻と鼻が触れた。
「わあぁ!」
慌てて肩にあるその人の腕を押し返す。
その瞬間、やってしまったと思った。
「・・・・・・」
その人がゆっくり立ち上がって、僕を見下ろす。
黒い、二重の目。
どうしよう。
違うのに。どうしよう。
怒らせた。
「・・・ご、・・・ごめんなさい」
それだけは言わなければと思ったけど、少し間が空いて、
眉を寄せているかなめさんが、さっきよりも低目の声を出す。
「・・・・・・・・・落ちそうだったから、助けたのに」
なんでいつも、ちゃんとできないんだろう。
目線は縫われたように外すことはできなくて、
やり場がなくなった両手でシーツを握る。
「、ごめ・・・ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「・・・・・・」
目が乾いてくる。
でも、下を向いたら、
拳が飛んでくる。
「ごめんなさい・・・ほんとに、ごめんなさ・・・っ」
「そうたくん」
黙っていたその人が、口に人差し指をあてて、今度はしゃがんだ。
同じ高さに、顔がくる。
「・・・っ、」
「そういう時は、ありがとうって言ってほしいな」
・・・・・・え?
言われた意味がわからなくて、口を閉じる。
「落ちそうなのを防いだ俺に、謝るんじゃなくて、ありがとうって。
その方が嬉しい。
悪いかどうかで言ったら、いきなり触った俺の方が悪いし」
そうたくんは、いつも俺より先に謝っちゃうよね。
そう言って、可笑しそうにクスクス笑った。
「・・・・・・あ、」
耳が、顔が、熱くなる。
「うん」
「・・・あり、がとう・・・ございます」
ほとんど条件反射で言ったのだけれど、その人の目がキュッと細くなって、
「まだ敬語なのはしょうがないか。
どういたしまして」
「・・・・・・」
なんだろう、これ。
何かがじわっと胸に広がる感じがした。
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