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「そうたくん、ゆっくり息しよう」
近くで声が聞こえて、はっと我に返る。
「・・・え・・・ぁ・・・っ、・・・はっ」
「大丈夫。短く吸って、長く吐いて。そう」
また、
何回も、大丈夫って。
「・・・っ、ぁ・・・、」
「無理に喋らなくていいよ」
そう言われて、首を振る。
「ぼ、ぼく・・・は、・・・っど、すれば、いいですか?」
「え?」
「ぼくは、なに、すれば・・・っ、・・・っあなたは、誰ですか・・・っ」
聞かない方がいいかも、って思った。
でも、こんな・・・こんなに、
優しくされる理由がないから。
体を見たら、包帯も巻いてもらってて。
よく見れば薬も塗られてるみたいで。
僕には、何も無いのに、こんな・・・っ
「め、迷惑、かけて・・・ごめん、なさい」
息苦しさに力が抜けて、そのまま枕に頭を沈めた。
また、汚してしまう。
そう思って、力の入らない拳を握り締める。
「迷惑だなんて思ってないよ」
俯いていた顔を上げると、また同じ高さに目があった。
「俺、いろいろ言葉が足りないよねほんと。
いい年して申し訳ないけど、仕事以外で人と話したり、自己紹介したりするの苦手で」
情けないよね。
そう言った黒い瞳が、一瞬遠くを見る。
シャツ姿でダラっと肩の力を抜いているのを見て、段々冷静になってきて、呼吸が整ってくる。
「では、改めまして。
俺は三崎要(かなめ)です。先月で21歳になりました」
そうたくんは?と聞かれ、ゴクリと何かを飲み込む。
「みついし、そうた・・・たぶん、13歳です」
「・・・、まじ。もうちょっと小さいと思ってた」
答えに困って黙ると、ごめん、と笑われた。
ピピッ
その時、ミニテーブルに置かれていた時計が小さく鳴った。
時間は15時。
僕、何時間くらい眠ってたのかな。
ふいに、しんどい?と聞かれ、よくわからなくて首を振る。
「そっか。
・・・やっと落ち着いたし、細かいことはあとで話そうと思ってるんだけど、
俺はとりあえず、そうたくんはあの家を出た方がいいと思ってる」
「・・・・・・」
「出た方がいいっていうか、今のところ、帰したくない」
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