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「・・・あり、がとう・・・ございます」
素直に繰り返された言葉は、また律儀に敬語に変換される。
「まだ敬語なのはしょうがないか。
どういたしまして」
いつかとってもらうことを前提に、
「まだ」を強調しておいた。
今さら、ぶつかった鼻がじんじんしてくる。
きっともうこの時点で、
そうたくんとの「いつか」のイメージは、
俺の中にあった。
なんでかはわからないけど、
そうたくんの存在は、驚くほどすんなりと俺の世界に入ってきていたんだ。
「・・・あんなに広い景色があるなんて、知らなかった・・・」
あの時、
今にもふにゃりと崩れてしまいそうな、
湧き上がる高揚を抑えられなくなりそうな小さな横顔は、
返す言葉を見つける前に隠れてしまった。
上手く言えないけれど、泣かせたいと思った。
「これからよろしくね」
もっと知りたくて。
もっと表情を見せてほしくて。
衝動に突き動かされるままに、
俺は身を乗り出していた。
これから、新しい毎日が始まる。
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