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冬の女の子・・・・4
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森さんがボクを連れて行ったのは、外苑東通りを奥に入った路地にあって、意外にも緑の木々に囲まれた素敵な素敵なカフェだった。
車をパーキングに入れて、その路地に入った時、ボクは思わず、わぁ〜なんて裏声をあげてしまった。
大きな窓ガラス越しの木漏れ日、赤いかわいい椅子。
「いいでしょ?ここ。まゆちゃん気にいるんじゃないかと思ってね」
「すごぉ〜い、かわいい〜……」
ボクはなるべく小さな声ではしゃいだ。
「ここのチーズケーキ、まゆちゃん好きなんじゃないかな」
「あ、かわいい……」
真っ白の雪だるまみたいなまあるいレアチーズに赤紫のベリーのソースかかってるの、かわいい!すごくかわいい!
ママもきっと好きだ、こういうの。ママを連れて来たかったな。
ついニコニコと幸せそうにお店を見回すボクを森さんは優しく見ていた。
「まゆちゃん、マフラーとったら?」
「あ……」
一瞬で現実に帰ったようだった。ボクはキュッとマフラーを握りしめた。その手を森さんがそっとたしなめる。
「大丈夫だよ。君はかわいい女の子だよ。俺に見られてる限りまゆは女の子。大丈夫」
悲しいかな、ボクは、現実越しに自分を見ているから……。マフラーを外せば、男の子の輪郭と太い首が現れるのを知っている。
でも、これは、二人のこういうプレイなんだ。こういうプレイのためにボクたちは会ってるんだ。
マフラーを外して、うつむいた。
誰かがボクを見てるんじゃないかと恥ずかしかったけど、森さんがいるから平気な気がした。
ボクはリップが落ちないようにちょっとずつちょっとずつケーキを口に運んだ。
そうだ、ボク、ずっとこんな風にしたかったんだ。こんな風に外に出たかった。
ミッドタウンの裏手に森さんのセカンドハウスはあった。
エレベーターの中で、ようやく森さんはボクの手を握ってきた。
磨き上げられた壁にミニスカートの女の子が背の高い男の人と手をつないでいるのが映っている。
おとうさんと娘……には見えない。恋人にも見えない。
映っているのはこれからセックスをする二人。
“横浜市 20歳 学生 まゆ”
“男の娘です”
“出会い系は初めてですが 男性経験あります”
“まゆさん、初めまして。足跡からプロフ見てメールしてます”
“僕の書き込み見てくれたんですね”
“まゆさん、よかったらLINEでお話ししませんか?”
“次の土曜に、僕のうちに来ます?”
「うちというか、半分スタジオだけど。趣味のね。僕の写真みてもらいたいな」
そこは、セカンドハウスとか言うだけあって生活感はなかったけど、ああ、いろんな女の子──男の娘がここに来るんだなって感じで、大きな大きなベッドとふかふかのソファーがあった。あとは本当にスタジオみたいに撮影機材や大きなライトが置かれていて、窓の外は隣のビルらしく、暗幕みたいなカーテンが惹かれ、コンクリートの壁の一面には、ロールに巻かれた天井まである紙が立てかけられていた。
室内は床暖房で暖かく、フレグランス・スティックから大人のいい香りが漂っている。
部屋を見回していると、お湯を沸かすだけみたいなコンパクトなキッチンから森さんがコーヒーを運んできた。
「あ、まゆちゃんちょっとそこに立ってみて」
「え?」
何もない壁の前に立つと、森さんはさっとカメラを取り出し、数回フラッシュをたいた。
いきなり写真を撮られるとは思わず、ボクは焦る。
「ほら、見てごらん」
差し出されたカメラの液晶画面を覗くと、赤いマフラーに顔を埋めて、ちょっとだけ緊張気味の、でもすごく自然な「まゆ」が写っていた。
「ね、女の子でしょ、きみは」
「……えへへ……人に写真撮ってもらったの初めて」
ウソだ。エッチな写真ならいっぱい撮られた。スマホでだけどね。
ああ、それから……。ママといった夢の国の写真館。プリンセスの黄色いふわふわのドレスを着て、あの時のフラッシュを思い出す。
あの幸せな時間……。
「もっと可愛い写真、いっぱい撮ろうか」
不意に森さんがボクを抱き寄せた。
ぎゅーっと抱きしめられ、ミニスカートのお尻を撫で回される。あ……勃っちゃう……。
森さんの唇がうつむいたボクの唇を探し、重なる。
初めての男の人とキスするどきどき、好き。
入ってきた舌にボクも応える。
「まゆ、甘いよ」
そうだボクはかわいい真っ白なケーキ。ボクは赤いベリーのソース。お砂糖をたっぷり入れたミルクティ。
キスをしながら、ソファーに連れて行かれ、キスをしながら、マフラーを取り払われ、ジャケットを脱がされた。
「キスうますぎるよ、まゆ」
森さんが笑いながら、ボクのほっぺを軽くつまむ。そして、言った。
「本当はいくつ?」
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