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19 (結城 和総 side) 過去
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「 悠、痛かっただろ。
ごめんな、何にも出来なくて。」
母親に殴られた生々しい跡に包帯をまいていく。
「 そんな事ないよ?
かずにぃがいつも手当してくれるから全然痛くないよ??」
幼い悠はニコッと笑顔を向けた。
その笑顔を見ると、ギュッと胸が締め付けられて何にもしてやれない自分に苛立ちをおぼえる。
「 ┈┈悠、一緒に住まないか?俺の親も悠の事可愛がってるからそうなったらきっと喜ぶよ。」
しかし、悠は小さく首を振った。
「 んーん。お母さんね、ひとりぼっちは寂しいんだって。だから僕が一緒にいてあげるの。
お母さんは僕に痛いことする時もあるけど、すぐにごめんねって、大好きって言ってくれるの。
僕もお母さんが大好きだから。」
だからお母さんがひとりじゃ無くなるまで僕が一緒にいてあげるの。
そう答えた悠は心からの笑顔を向ける。
どうするべきなのだろうか、俺はこの子に何をしてやれるのだろうか。
「 そっか。悠は優しいな。」
悠の細い髪を少し乱暴に撫でるとくすぐったいと何だか嬉しそうに笑う顔を見て、この笑顔を、悠を守ってやりたい。そう思った。
┈でも結局、俺は何も出来なかった。
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