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奏英の手が、俺の横に降ろされる。
ギシ、とベッドがきしむ音がして、奏英の顔が近づいてきた。
ああ、またキスするのか。そう思って目を瞑るが、一向に触れてこない。しかし、気配はすぐ目の前だ。不思議に思って目を開けると、奏英は鼻先が触れ合う距離でじっと俺を見下ろしていた。
「っ……なん、だよ……?」
ヒヤリと背筋が震え、忘れかけていた危機感に心臓が跳ねた。
視界いっぱいに、奏英の黒い目を覗き込む。呼吸が消えていくのがわかった。真っ暗な、切れ長の目。何を考えているのかわからない。
気持ち悪い奴。何考えてんだよ。教えろよ。いつもお前だけ優位に立ちやがって、ズルいんだよ。
「………か…」
「僕が怖い?」
かなえ、と言いかけた言葉が潰される。
ぬるりと首筋を伝った水滴は、汗なのか、水なのか。
怖いに決まってる。それに、気持ち悪い。だって何考えてるかわかんねぇんだよ。もっとわかりやすく、はっきりしろよ。嫌いなんだよそーいうの。
「っ……」
「震えてる。声、出ないの?」
トン、と喉に人差し指が突きつけられる。
声が出ないわけじゃない。距離が近すぎて、喋れないんだ。
「……君ってさ、すごく怖がりだね」
「っ、な…ん……」
「嫌なくせに、僕の言うこと全部聞く。泣いたり喚いたりできないくらい、僕のことが怖いんだ」
「は……ち、ちが……」
否定を示すと、目の前の瞳が歪んだ。それから奏英の手が、俺の首を包みこむ。
かぶせるような力が、だんだんと強く首を押し付けた。喉仏が潰されて、苦しくて口を大きく開けて酸素を求める。
しかし、奏英はそれを待っていたかのように俺の口を口で塞いだ。混乱して、上手く鼻から息が吸えない。必死に体を暴れさせても、奏英自身の体で押さえつけられ、なすすべもなく呻き声だけが漏れていく。
「ンンッ……!」
こいつマジで、キチガイだろ。大人しくしてたらつけあがりやがって、ふざけんな。俺はな、こんな所でお前なんかにやられて死ぬわけにはいかねぇんだよ。
「ン、…っ、んぅ…!」
だからやめてくれ。これ以上俺を苦しめないでくれ。
助けて。お願いだから。やめて。俺を虐めないで。
嫌だ、まだ死にたくない……!
「ンぅ…っ…、ッ………、………」
「っ………は…、っはぁ……侑太郎…」
「…………」
「……侑太郎?」
あれ……体が、動かない。
もしかして俺は、もう殺されちまったのか。
「ぁ…侑太郎……ごめん、ごめん…!」
自分でやったくせに、なんで謝ってんだろ。
……やっぱり変な奴。
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