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「ガキの頃……泣いてたら、親父に押入れに閉じ込められたことがあってさ…。それから、ダメになっちまった」
「……そうだったんだ」
すると、奏英は「ごめんね」と謝ってくれた。いつもは恐怖を与えるだけでしかないその声が、今は優しく降ってくる。
「でも、親父さんの気持ち、わかるなぁ」
「っ……は?」
突然の言葉に、背筋がヒヤリとする。
頭を撫でていた手が離れたかと思うと、奏英の指が俺の顎のラインをなぞっていく。
「だって……泣いてる侑太郎、すごく可愛いから……ずっと閉じ込めていたくなるよ」
「……もう、閉じ込めてるだろ」
「あはは、ツッコまれちゃった」
「っぁ、ぐ……」
突然、奏英の指が俺の口内に入り込んでくる。
なぜそんなことをしたのかわからないが、奏英はやけに楽しそうだった。
二本の指で口を開かれ舌をひっ掴まれると、切られるんじゃないかと怖くなる。
「それで、今でも狭くて暗いところが怖いんだ? 可哀想」
「っ、ふ…ぁ……はな、ひ……」
「大丈夫。僕が、そんな恐怖無くしてあげるよ」
奏英の顔が近づいたかと思うと、掴まれた舌に奏英の舌が絡まり、指が離れる。いつの間にか唾液が口の端から溢れ、首筋を流れて服を汚していったが、奏英は気にも留めない。
「ン…、はっ……ぁ…」
次第に口付けは深くなって、トンと背中がシーツに倒れる。
苦しくて奏英の肩を掴むと、それに応えるように奏英の両手に頬を包まれ、もっと深く舌が入り込む。
しつこくて、まとわりつくような口付け。
怖いのに、無理やり熱を植え付けられて、感情だけが置いてけぼり。
こんな事も、今までの奴等にしてきたのか。それとも。
ぼやける視界の中、奏英がうっすらと目を開けた。俺が苦しむ様子を楽しむように、その目が笑う。
「ッ、は…ぅ……」
このまま、食べられてしまいそうだ。
もしかしてこいつは、あの暗闇に住んでいた怪物だったのかもしれない……。
「可愛い、侑太郎…」
まるで過呼吸を起こしそうな口付けが離され、強張っていた身体の力が抜けていく。ずるりと肩を掴んでいた手が落ちる前に、奏英が俺の手を掴んで、恥ずかしげもなく唇を落とす。
「っ、は…はぁ……なんで……?」
「どう? 怖いの、無くなったでしょ」
確かに、もう暗闇の恐怖なんかは、どこかへいってしまったが……。
もしかして奏英は、やり方はおかしいかもしれないが、俺を慰めようとしてくれたのか…?
「…ん……まぁ…」
「ふふ、素直な侑太郎も可愛い」
奏英は満足げに笑うと、俺の上から体を退け、離れる。
よく見ると、床に放られている買い物袋からは、野菜やら果物やらが飛び出して、卵なんかは一つ割れてしまっていた。
そんなに、焦って俺のところへ来てくれたのか。
「じゃあ、今からご飯作るね。もう一人で大丈夫?」
「……ああ」
「良かった。ちゃんと寝ないで待っててね」
奏英は散乱したそれらを拾って袋へ戻すと、部屋を出ていった。
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