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次の朝、いつものように奏英に朝食を食べさせてもらった後、さっそく髪を切る準備をし出す。
俺、なんであんなこと言ったんだろう。
もはや後悔をし始めた頭を振り、無心で朝のニュースを見ていた。すると突然、奏英の手が俺の髪に触れる。
「んー……本当に伸びたね。それに、金髪もだんだん落ちてきてる」
しばらく鏡なんか見ていないから、自分の髪の状態なんてわからない。
しかし、前髪が目にかかって邪魔だと思うくらいだから、やっぱり伸びているのだろう。
「染め直すのは、カラーリング剤買ってこなくちゃいけないから、また今度ね」
「……ああ」
想定内だった。美容室に連れて行ってくれるわけもないだろうし。…まぁ、もはや髪色なんてどうでもいいけど。
奏英はテレビを消すと、俺の背後に回り髪をいじる。
それから、静かな部屋にハサミの切る音だけが響いた。
どんなひどい髪型になるんだろう。
まぁ、外に出ることはないし、奏英しか見ない。だから、別にどんなでもいいか。
「……侑太郎、大人しいね」
「……え?」
「前に聞いた時、僕がハサミなんて持ったら、殺されるんじゃないかって怖がってたでしょ」
殺されるとまでは言っていないが……似たようなことは思った。やっぱり、気づかれてたのか。
「怯えてる侑太郎も可愛かったけど……今の方が、もっと可愛い」
「……なんで?」
「僕のものになった感じがするから」
気持ち悪いこと言うな、だとか、俺はお前のものじゃない、だとか、前なら口から飛び出していたかもしれない。
でも今は、どこかで奏英の言う通りだと思ってしまっている。
身動きも取れない今、俺はこいつがいなきゃ生きていけない。逆に言えば、こいつがいるせいで生かされている。
「いっ……!」
パチンッ、とハサミを切る音とともに、左の耳朶に激痛が走る。反射的に体を丸めると、すぐに奏英の手が俺の肩に触れた。
「ああ、ごめん……耳朶を少し切っちゃったみたい」
「っ……テメェ、ふざけんな…!」
首筋を流れる感触は、血液だろうか。
だいぶザックリいってしまったようで、ピアスの穴を開けた時のような痛みがジワリと襲ってくる。
痛みに悶える俺の姿をただ眺めていた奏英は、なにを思ったのか、突然俺の背に覆い被さった。
なに、と問う前に、切れた耳朶に生温いものが触れる。奏英の息遣いが耳から伝わり、それが舌だとわかった。
それは血を舐め取り、傷を癒すような動きをする。
「やめっ……ン…!」
かと思うと、強く傷を噛まれ、再び激痛が走った。背を丸めて痛みを軽減しようとしても、奏英は逃してはくれない。
奏英に耳朶を吸われると、ゾクゾクと変な感覚が体を駆け巡る。首筋を垂れた血を舐められると、体重を支えきれずそのまま床へ崩れ落ちた。
「っは……きもち、わる…」
「ふ、酷いなぁ…治してあげてるのに」
「ん…っ、も、やめろって……!」
こいつ、わざと耳朶を切ったんじゃないだろうな。
奏英はもう血も出ない傷を舌で弄んだ後、倒れた俺を仰向けにする。
顔が真っ赤であろう俺を見下ろして笑ったかと思うと、捲れたシャツの裾から奏英の手が入り込んできた。
「ちょっ…髪、切るんじゃねぇのかよ…!」
「気が変わった」
「や、やめろ……やりたくない」
「………」
これで、奏英の誘いを断るのは何回だろうか。
……そろそろ、怒り出すかもしれない。
しばらくの重い沈黙の後、ゆっくりと、奏英の手が体から離れていく。
それから、奏英は捲れたシャツの裾を戻し、俺の体を起こしてくれた。
その予想外の出来事に驚いて、思わず奏英の方を振り向く。
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