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56 ※R18
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『ンンンンッ!! んんんぅ、ンンーーーッ…!!』
苦しげな声とともに、唯一画面に映っている裕也くんの両脚が激しく暴れていた。それは奏英の背中や肩を蹴飛ばしながらも、奏英の腕に拘束され、乱暴に揺さぶられていた。
なんだか、ここだけ今と違う。その半ば暴力に近いようなピストンは、自分がまだ見たことのない奏英の一面なのかもしれない。
『ッは、っはぁ…裕也くん、…きもちいい?』
『んんッ…っん、ぅ、ふ…ッ、ンン……!』
こんなに激しくして、気持ちいいわけがない。
奏英もそれをわかってか、律動は少しずつ緩んでいった。腰を前後に揺らしながら、奏英は心底愛しいとでも言うように、裕也くんの太腿に口づけを落としていく。
『ここ、好きだよね…? 突いたら、びくってする』
『ンッ、ふ…っ、んっ、んン…ッ!』
あんなに嫌がっていた裕也くんの声は、奏英のピストンがスローになっていくに連れて、甘く媚びたような嬌声に変わる。
どちらの声に反応したのかわからない。ゾクゾクと自分の胸を駆け上がる熱に、知らずカメラを握り締めていた。
……こんな動画で、奏英との行為を思い出すなんて狂ってる。まじで俺、気持ち悪い…。
なんだか少し気まずくて、すぐ横で同じ映像を見ている奏英の様子を盗み見てみる。
奏英の横顔は、どこか悲しげだった。過去を懐かしむという感じでもない。
……もしかして、後悔してる?
「……何?」
「っ……ぃ、いや…」
俺が見ていたのに気づいたのか、バッチリと目が合ってしまい、慌ててカメラに視線を戻した。
『あっは…裕也くんの中…っ、いつまで経っても、拡がらないね』
『ンンぅ…ッ、んっ、んっ…ン……ッ』
律動に合わせて上下に揺れる裕也くんの脚が、ビクビクと震え出す。もう絶頂が近いのだろう。そのどうしようもなく情けない姿。男に犯されて抗えない姿が、嫌でも俺と重なってしまう。
自分の姿を客観的に見たことはないが、奏英に犯されている俺は、こんな情けない姿を晒しているんだろうか。快楽など感じたことのない場所を開かれ、逃げることもできず、黙って揺さぶられ続ける。まるでダッチワイフみたいだ。
……これが、今の俺?
『んっ…ッ、い、ッは…! ぁ、』
『ねぇ…裕也くん、僕のこと好きって言ったよね? 今も? 今も僕のこと好き?』
ビリ、と何かを破く音がして、裕也くんの声が聞こえた。奏英が口のガムテープを剥がしたようだった。
『ッ、ぁ、あぁ、ア…ッ、やだ、いく、はぁ…っもう、やだ、ああぁああ…ッ!! やだ!!』
『僕は好きだよ、君が好きって言ってくれたから。だから、僕の側にいてくれるよね…? 僕をずっと愛してくれるよね?』
嫌な予感がした。裕也くんは、高校時代の俺と似てる。あの時の俺は、支配者に媚びを売ることの重要さを知らなかった。無鉄砲で、真っ直ぐで、怖いものなんてないと思っていた。
……だから、もし俺がこの頃、こんなことをされていたら、きっと叫んで言ったと思う。
『ッ誰が…っ、テメェなんか…っ! 死ね変態クソ野郎ぉッ!!』
彼がもう少し大人だったら、
奏英がもう少し大人だったら、
奏英の興味を引くことを言わなければ、
奏英と出会っていなければ……。
『りゅ、竜也ッ……竜也呼んで来いよぉッ! りゅうや、竜也、りゅ、や…ッ、!』
裕也くんは、狂ったように「竜也」と連呼する。きっと彼の精神状態は限界に近かったのかもしれない。
それから、明らかに奏英の態度が変わった。ゆっくりだったピストンが、独り善がりの欲をぶつけるだけの動きに変わる。裕也くんはベッドから腰が浮き上がり、悲鳴のような喘ぎは潰れた蛙のようになっていた。
この角度では、何が起きているのかわからない。
『ぇァ、ぁあ……ッ、ぁ、! かっ、ハ…ッ、ぁ…!』
裕也くんの両脚が激しく痙攣していた。それは絶頂からか、他の何かなのかはわからない。その映像があまりに怖過ぎて、カメラを投げてしまいたかった。しかし、体は動かない。
『ぁ、が…ッ、………ァ、…ッ、…っ、』
一秒、十秒ごとに、彼の声が途切れ途切れになっていく。
爪先を丸め、奏英の背を必死に蹴っていた足は、次第に力を無くしてぐたりと奏英の肩に落ちた。
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