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2月_13
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「…ごめん、ほんとにごめんな、慎」
「…っ………雄高さん…」
「何?」
「………………会いたい、です………今猛烈に………」
貴方に会いたくて仕方ない。胸の中に収めて貴方の温もりを感じたいと、俺の気持ちを受け止めて欲しいと、急にそういう感情が溢れ出た。
「………俺も、会いたいよ………でも、行けないんだ」
「知ってます。だから俺も今日行かなかった」
「うん。ごめんな、我儘で」
「いいですよ。そんな雄高さんが好きなんですから」
「……………」
「雄高さん?もしもし……?」
「……あ、うん。なんか久しぶりに聞いたから、それ……」
ははっ………。何年たっても、何回言ってもこの人は……
かわいいんだから。
それからは雄高さんにしては珍しく平日に長電話をした。
この1ヶ月であったこと、仕事の愚痴、楽しかったこと、恥ずかしかったこと…
いつもの時の電話みたいに話した。
ただ今回は唐突に「好きだ」と言われた。
その時は驚きの方が大きくて反応するだけで精一杯だったけど、電話が終わると頬がじんわりと熱を帯びた。
歯を磨こうと思いリビングを通るとふと外が静かだと思った。
もしかしてとカーテンを開けると、街灯やまだついているアパートの明かりに照らされながら白い雪が降っていた。
暦の上では春だけど、まだ冬なんだな。
それでもいつかは春がまた巡ってくる様に、俺たちの関係もよくなっていくのだと思う。
そんな気がして俺はカーテンをもう一度閉めた。
少しだけを残った不安には気づかない振りをして…
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