アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
遅れてきた誕生日_7
-
『大人になれば…俺の恋も許されるんじゃないだろうか』ーーー
まだブレザーを着ていた主人公が好きになってしまった同級生の事を見ながら、そう言っていたのが特に印象的だった。
切なくて、でもあまりに真っ直ぐにその同級生を見るものだから目が離せなかった。
高校時代はそのまま何もなく、主人公はその後上京し大学に通い、恋人もできるのだが就職先の取引相手としてその同級生と再会。紆余曲折を経て、2人が付き合うところで映画は終わる。
俺は元々ゲイなわけでもないから、途中途中違和感とか、恥ずかしくて見れないシーンがあったが、勇気を出して借りたのが良かったと思っている。
映画と違うなと思ったのは、現実にはこうして付き合ったその後が本人たちの意思がある限り続いている。
そして、付き合うまでが大変なんじゃなくて、付き合った後の方が大変だ。
雄高さんと付き合うってことは、男女の時よりも実際難しい。
日本ではまだ同性婚が公には認められていない。だから俺は養子縁組をしない限り、雄高さんの家族には認められない。
という事は、俺は雄高さんの大事な時に仲の良い後輩としてしかいられないわけで。
この人が病気をした時、この人に何かあった時、一緒にマイホームを買うのにローンを組む時…考えたらきりがないけど、節々に課題は見えない様に存在している。
目に見えるのなら、デートの時でも手を繋げないことかな…。後は中々カップル扱いはされないし、それを証明できるものもないってこと。
それが映画を見た後で俺が考える様になったことだ。
「慎?」
昔の事を思い出していると、雄高さんの声がわりと近くで聞こえた。
「はい、なんですか?」
「いや、なんか面白いのあったか?」
俺が見ていた方を辿ろうと雄高さんが視線を動かそうとしたのを、間に入ることで止めると、俺はなんでもない風に歩き出した。
「いいえ、雄高さんは何借りますか?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 66