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花嫁修行の報告
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新年度。昨年度と引き続き、同じクラスの悠と梓は悠が2番、梓は24番と番号が離れているため席も離れてしまった。
「梓ぁー席離れちゃったねぇー」
「…わかってたことじゃん」
「そうだけどさー、やっぱ隣のまんまが良かった…」
「そりゃ、ね…」
実は梓は春休み中に、中学受験をすることを決めていた。今の所は、現在の梓の学力なら全く問題のない水花(すいか)大附属の中学校を受験するつもりだ。偏差値はかなり高い。中学、高等学校と男子校で、大学は共学である。そのことを、梓は悠に切り出せないでいた。
それでも、今日のうちには言っておきたい。
「…あの、さ。悠。」
「ん?」
「2時間目が終わったら上にきて」
「…、うん。」
“上”と言うのは、例の屋上の扉の前の事である。何故わざわざ呼び出すのか気になった悠だったが、梓が少し暗い顔をしていたように感じたので何も聞かないことにした。
2時間目が終わり、悠は例の場所へ向かう。なんの話かとは思ったが、梓のことだからと何も心配はしていなかった。クラスの皆は悠と梓は特別仲がいいとしか思っていないので、教室で話をしても問題はないのだ に、と思いながら悠は階段を上った。
「…悠。」
「梓、お待たせ」
「…うん」
梓は悠の正面に立って、重たい口を開いた。
「…あのね、悠。…僕、水花中受験するんだ。」
「じゅけん?…あぁ、中学行くやつか」
「うん。…だから」
「だから、悠と同じ中学に行けないかもしれない。」
「……。ひっこしはしないの?」
「うん、今の家から中学に行くんだ」
「んー。学校で会えないの?」
「うん」
「…週末と放課後は?」
「…がんばれば」
「うん…」
「ごめんね、悠。」
梓は身を乗り出して悠に触れるだけのキスをする。驚いて固まる悠を余所に、梓は珍しく悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「土曜日、うちに来て?」
その声をどこか魅力的に感じた。
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