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侵略者
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悠と梓の学年がまた一つ上がった、冬。
梓の進学先も決まり、すぐそこに修学旅行が、1ヶ月先には卒業式も待っている。
修学旅行は班のメンバーやバスの座席まで小学校最後の思い出ということで自分たちで決めることになっていた。
もちろん梓の隣は悠な訳で、クラスではもう暗黙の了解と化していた。
…はずだった。
-梓side-
「悠ばっかりいっつも梓君の隣でずるい!私だって梓君の隣に座りたいのに!」
わがままと有名で悠とも仲の良い学年一の可愛らしい見た目の少女、大塚 結女(おおつか ゆめ)が梓の隣に座りたいと駄々をこね出したのだ。
「ね、梓君?悠といつも一緒にいるからたまには私が隣でもいいでしょ?」
随分と押して来る結女に若干引きつつも、押しに弱い梓には断ることができない。
「じゃあ梓、大塚の隣座れば?」
「えっ…」
「ほらっ、悠もそう言ってるんだし!」
「…う、うん。そうだ、ね」
悠が何てことないというように結女に自分の隣を譲り、戸惑う。別に結女のことが嫌いなわけじゃない。ただ、悠の隣に座るつもりだったのと、悠が自分の隣をあっさり譲ってしまったことがショックだった。
悠の言葉を味方にした結女を断れず、頷いてしまう。
「うふふ、やった。梓君の隣もらっちゃったぁ」
素直に嬉しそうにしている結女に申し訳ないと思いつつも、梓には喜ぶことができなかった。
一方悠の隣は女子の泥沼に引きずり混み合うような争いを勝ち抜いた、面倒見の良い嶋野 美枝(しまの みえ)に決まった。
悠が自分のことを大好きだと分かってはいても、美枝に世話を焼かれて、そのまま自分のことなんか忘れて彼女を好きになってしまうのでは、と心配になる。
ずっと楽しみにしていた修学旅行が、少し憂鬱になってしまった。
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