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牛印の石鹸で煩悩を洗う-3
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映画を見終わって外に出るとちょうどお昼時。
ジュースとボップコーンだけじゃあ育ち盛りの高校生のお腹は全く膨れないので、とりあえずショッピングモールに入っているファミレスに向かった。
虎太郎がドリンクバーのお代わりを取りに行って一人になった途端全身の力を抜いて壁に寄りかかった。
朝はあんなに気乗りしなかった虎太郎との外出が嫌ではない、むしろ楽しいと思い始めている自分に驚いている。
昼を食べたら何か理由をつけて帰ろうと思っていたはずなのに、このショッピングモールで行きたい店ばかり頭に浮かぶ。
もう少し……。
あとちょっとだけあいつを付き合わせるのも悪くはない。
それより、ドリンクを取りに行くのに何時間かかっているんだ。
いつまでも戻ってこない虎太郎に不信感を感じ始めてきたころ、店の入り口の方が何だか騒々しいのに気付いた。
何?
嫌な予感を乗せた視線はソフトクリームの機械でビタッと固まった。
あのバカ……。
何故か次々とソフトクリームを大量生産している虎太郎に回りのテーブルの客もクスクス笑いを隠そうともしない。
「葵琉先輩~」
虎太郎が情けない声で俺の名前を呼んでいるのは耳に届いたけど、回りの客が「葵琉先輩」を探してキョロキョロしてるのを目にした途端に出ていく勇気が萎えてスマホに活路を求めてしまう。
出ても出なくてもとにかく電話をしている振りが出来ればいいからシロの名前を呼び出した。
「あ、シロ! 今休憩?」
ちょうどシロが出てくれて、虎太郎が居るのと反対の出口から店の外に脱出する。
次のクラスが始まるからと電話を切られて席に戻ると、グラスに入ったソフトクリームが4個整列していた。
「何これ?」
初めから見ていなかった体で聞くと虎太郎は「機械が止まらなかったんです~」と泣きそうな顔で言う。
残りのソフトクリームは店の人が他のお客さんに配ってくれたらしくてちょっと安心した。
お腹がいっぱいになった後はゲーセンで遊んで、シロにお土産を買ってそれから夕飯も一緒に食べてあっという間に時間が過ぎていった。
「じゃ、ここで」
「あの……」
「ん?」
虎太郎の家との分岐点まで来て別れようとしたところで虎太郎に呼び止められた。
「今日、家に泊まりませんか?」
「え?」
俺の両親はチョコレートの勉強だと言ってしょっちゅう国内外に二人で出掛けて行く。
だから家に一人というのにもすっかり慣れっこだったし、いつもシロん家に泊まってるからたまには一人の夜もいい。
だけど、今日1日楽しく過ごして、もうちょっとだけこの雰囲気を味わいたくなってきた。
「じゃあ泊まる」
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