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つきごころ-2
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しばらく校内を彷徨って頭も冷えたところでやっぱり謝ろうと生徒会室に戻ってきた。
そーっと音を立てずに戸を開けるとシロは窓の前で外を向いて佇んでいる。
足音を忍ばせて背後まで回り込んでみたものの、なかなかゴメンの一言が口から出ようとしない。
だから想いを込めて紅茶棚の前に佇むシロの腰にそっと手を廻した。
――シロ、ごめん。
だけどよっぽど怒っているのかシロは微動だにしない。
「シロ……さっきはごめん」
前に回ってシロの顔を覗きこんだ瞬間、息が止まるかと思った。
「悪ぃ、俺だ」
シロと身長も体型似ているも瀧川先輩に抱き付いてしまったんだ。
ただでさえ瀧川先輩は恐いのに、さっき勢いで「大っ嫌い」なんて失礼なことを言ってしまったもんだからどれだけ怒っているか想像するだけで足が震える。
どう……しよう。
フラフラと2、3歩下がったところで足がもつれて尻餅をついた。
「大丈夫か? ほら、掴まれ」
スッと屈み込んだ瀧川先輩が肩を貸してくれて何とか立ち上がることができた。
「あ……」
ずっと恐いと思ってた先輩だけど、俺の腕を掴んだ手は優しかった。
そのままソファーまで連れていってくれたけど、尻餅をついた所が痛くて真っ直ぐ座れない。
お尻を擦って眉を顰めていると瀧川先輩が瀧川先輩が肩に寄りかからせてくれた。
「先輩、ありがと」
「何だ、いきなり。お前はそんな謙虚なやつじゃなかっただろ」
「お礼とか謝ったりとかは、ちゃんとしないとシロが怒るから」
普段何をしても怒らないシロも礼儀にだけはうるさいんだ。
「本当あいつの事が好きなんだな」
「好き、大好き!」
愛するひとの顔を思い浮かべて少し笑顔が戻ったけど、そんな状況じゃないのを思い出してしまった。
「シロ怒ってた?」
「かなりな」
「あーあ……」
今回の喧嘩は長くなりそうな予感がした。
「大丈夫だ、お前はいい子だから絶対大丈夫だ」
「ありがと、先輩」
「お前を見てると穏やかな気分になるな」
もっと先輩に甘えたくなって、肩に凭せかけていた身体を太股にストンと着地させた。
先輩の目が一瞬大きく見開かれたけど、そのまま居させてくれた。
「先輩、さっき嫌いって言ってごめんね。あれ、嘘だから」
「わかってる」
「良かった」
「俺はお前が好きだ」
「俺も先輩好きだよ」
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