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つきごころ-おまけ「シロのいない週末」の巻
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◎巨大な台風が襲来したようだった今日のマモタン。一難去ってまた一難!?
――――――――――
月灯先輩とマックを食べながらカバンの中のスマホを取り出そうとして、違和感を覚えた。
何かない。
ある筈のものが何かない。
あーーーーっ!!
「鍵っ!!」
「鍵?」
「家の鍵、忘れた」
「何処に」
「生徒会室」
確かに生徒会室のソファーに置いたのを覚えている。
その後シロと喧嘩した事でキーケースの事なんか頭から吹っ飛んでいた。
「どうするんだ、もう学校閉まってるぞ。家の人まだ帰ってないのか?」
「旅行行ってる」
「合鍵とかないのか?」
「あるけどシロの家……先輩……どうしよう」
家に帰れなくなっちゃった。
「どうしようって、志朗ん家行って鍵貰って来るしかないだろ」
「えーっ、やだ。シロに会いたくない」
「会いたくないって言っても、家帰らないわけにいかないだろ」
こうなったら、どこかで夜を空かすしかない。
「いいよ、漫喫かどっか泊まるから」
「漫喫って……お前どっからどう見ても未成年だろ。補導されるぞ」
「だって家に帰っても中に入れないし、他に行くとこないし」
「……」
大学生に見える服買って着替えて、制服はコインロッカーに入れて。
そんな事計画してたら月灯先輩が「わかった。俺ん家に泊まれ」って言ってくれた。
「本当にいいの?」
「ああ、お前を漫喫に泊まらせて何かあったら志朗に何されるかわからないからな」
「ありがと、先輩」
「先に言っとくけど家にはお前が喜ぶようなもん何もないからな」
「いいよー」
漫喫に泊まるなんて強がってみたけど本当のところは不安だらけだったから泊めて貰えるだけでもめっちゃ助かるし。
月灯先輩ん家の客間が寝心地抜群で熟睡できたおかげか、翌朝先輩が起こしに来てくれた時には顔も洗って準備万端だった。
「おはよ、先輩」
「お、おお」
普段無表情な月灯先輩の顔に『起きててくれて助かった~』って書いてある。
起きたくないだのあと10分だのゴネるのを想像してたんだろうけど、寝起きの良さだけは自信があるんだから。
朝ごはんのメニューは焼き魚に湯豆腐、ご飯はお櫃で出てきて何だか修学旅行に来たみたいだ。
「いただきま~す」
うん、お米美味しい。
袋に入った海苔までちゃんと専用のお皿なか乗ってるし、何ならこのまま旅館として営業しちゃえそう。
「先輩は今日何して過ごすの?」
「俺は家にいてゆっくりするけどお前はどうするんだ?」
「う~ん、どうしよっかな~」
夕方には両親が旅行から帰って来る予定だから、それまでどっか行くのもいいな。
「どこ行こっかな~」
行く場所をあれこれ考えてたら月灯先輩が焦り出した。
「やっぱり夕方までここに居てくれ」
「何で」
「お前を一人でどっかにやって迷子にでもなられたら志朗のやつが恐ろしいからだ」
もうー。月灯先輩ってばシロのこと恐がり過ぎだって。
それに迷子って幼稚園生じゃないんだから。
だけど、ここはひとつ先輩の顔を立てて夕方までお世話になろう。
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